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だいよんわ 友だち

クマくんはビクビクして、辺りをキョロキョロしながら深い森を進みます。

クマくんの顔に大きな蜘蛛の巣がかかりました。


「わ! 魔王の攻撃だぁー!」


その声に驚いて寝ていた森のコウモリ達が起き出して、クマくんの頭の上を通り過ぎました。


「わぁ~! 毒コウモリだぁ~!」


背中にいたアライグマくんは見えるからうるさく騒ぐのだと思い、目を手で覆いました。


「ぎゃ~!! 真っ暗になった! 世界の終わりだ!」


5人の友だちは呆れました。

みんなで腰に手を当ててクマくんの気持ちが落ち着くのを待ちました。

クマくんはようやく落ち着いて、キツネくんが持ってきてくれた沢の水を一息に飲みました。


「もう。ホントに臆病ね!」


コマドリさんがそう言うとクマくんは恥ずかしそうに顔を隠しました。


「ほら。背中にオバケがいるぞ」


と言うリスさんの言葉におそるおそる背中を見るとアライグマくんの顔。


「ギャ! クマ食いオバケ!」


そのままキュウと目を回して前に倒れ込んで気絶してしまいました。

それを見てリスさんはヒャッヒャッと笑いだしました。


「悪い趣味だよ。そう言うの!」


コマドリさんがリスさんのイタズラをたしなめます。リスさんは反省しながら頭をかきました。

みんなに揺り動かされてクマくんはようやく目を覚ましました。


「う、うーん」

「大丈夫?」


みんなの心配そうな顔につい涙がこぼれてしまいます。


「ダメだ! ボクは臆病ものの弱虫なんだ! 怖くて怖くてしょうがないよ!」


5人の友だちは、ホトホトと涙を流しながら話すクマくんの正直な気持ちを聞いて顔を見合わせました。


「オレは乱暴者の暴れん坊!」


そう言ってアライグマくんはクマくんの背中の上で棒っきれを振り回しました。その言葉を聞いてキツネくんが言いました。


「でも、頼りになるよ。アライグマくんは僕たちのリーダーさ。ボクなんてただのお人好し。そんな自分が嫌になる」


それを聞いてリスさんは言いました。


「そんなことない。キツネくんは優しいよ。あたいなんて、イタズラが過ぎていつも怒られる」


それを聞いてコマドリさんが言いました。


「そうね。でもね。もしもリスさんがいなかったら私はとても寂しいわ。私の歌は全部寂しい震える声になっちゃう」


それを聞いてヘビくんが言いました。


「だからコマドリさんの歌はいつも楽しいんだね。ボクの箸がますます進むよ。……箸、持ったことないけど」


それを聞いてみんなで大笑いしました。


「完璧なヤツなんていないよな」


そして、みんながクマくんの方を見ます。


「体が大きくて力が強いんだ。自信を持てよ」

「そうだよ。クマくんは優しい」

「クマくんがいないとイタズラする人がいなくて寂しいわ」

「歌を聴いてくれる人だって!」

「またハチミツのパイを一緒に食べようぜ」


クマくんは涙を流しながら喜びました。

そして思い出しました。


「ハチミツのパイ。木こりの旦那さんの奥さんに作って貰ったっけ」

「そうそう。元気かなぁ」

「また会いたいなぁ」


アライグマくんはまた棒っきれを振り回しました。


「木こりの旦那さんの奥さんを守るためにも魔王を倒すのだ!」


「おおー!」

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