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だいさんわ 六人のゆうしゃたち

残された六人。アライグマくんは飛び上がりました。


「オレは勇者だ! 魔王よ来てみろ!」


そう言って近くにあった太い棒っきれを拾って振り回しました。

暴れると手を付けられないアライグマくんですが、曲がったことは嫌いなのです。平和な森を脅かす魔王に腹を立てたのでした。

それを聞くとみんなにも勇気が湧いてきました。


「ボクなんて二刀流だぞ!」


キツネくんも固そうな枝を両手に構えました。

リスさんはクヌギの木の実の大きなドングリの帽子を兜のように頭にかぶり、顔には葉っぱで作ったお面をつけました。

ヘビくんも空いた缶詰を頭にかぶりました。


「コマドリさんは歌を歌ってボクたちを応援してくれよ」

「うん、分かったわ! ラララララ〜♪」


クマくんは、おずおずと後ずさりをして逃げようとしました。

それをみんなで睨みます。


「無理だよ。殺されちゃうかもしれないんだよ?」

「ダメだよ逃げちゃ」


「だってぇ」

「森の平和の為だよ。それに六人いないと勇者じゃないんだぞ?」


「う、うん」


クマくんは仕方なしにみんなの後からついていくことにしました。

勇ましく、棒っきれを振り回しながらアライグマくんが先導します。


すると、スコンっとアライグマくんの姿が消えてしまいました。

みんなの見ている目の前で。

みんな驚きましたが、一番驚いたのはクマくんです。


「ひゃー! もうダメだ! アライグマくんがいなくなった! もう部隊は解散だ〜!」


そう叫んで背中を向けてドスドスと走り出しました。大きなお尻が小さくなってしまいます。

それをコマドリさんが飛んで追いかけます。


「こらこら、クマくん。アライグマくんを探さなきゃダメでしょう」


クマくんは仕方なしに立ち止まり、振り向きました。

アライグマくんがいなくなったところをみんなが囲んでいました。


クマくんは自分の高い背を利用してみんなの頭越しにそこを見ると、小さな穴。

ウサギかアナグマが掘った古い穴かも知れません。

中でアライグマくんは目をグルグルと回していました。


「なぁんだ。穴に落ちただけかぁ」

「助けないと」


クマくんが穴に手を伸ばして、それを他の仲間たちが支えました。アライグマくんは穴から引き上げられてようやく目を覚ましました。


「う、うん……」

「大丈夫かい?」


「足をケガしたかもしんねぇ」


アライグマくんがそう言うと、クマくんは大きく安堵の息を吐き出しました。


「アライグマくんがこの調子じゃ仕方ない。部隊は解散しよう。また今度にしようよ。」


しかし、そんなクマくんをみんなはキッとにらみつけます。


「今度っていつ? その間に森は平和じゃなくなるかも」

「そうとも。この前生まれたカナリアの5匹のヒヨコも食べられちゃうかも」

「みんなの花畑も荒らされちゃうかもよ?」


みんなに責められてクマくんは下を向いてしまいました。


「だって5人じゃ無理だよぉ」


アライグマくんはせかせかとクマくんの背中に登りました。


「5人じゃない。クマくんがオレの足になれ! オレはまだ戦うぞ!」


そう言ってクマくんの背中の上で棒っきれを振り回しました。


「こりゃいいや。クマくんは馬ってわけだ」


キツネくんがそう言うと部隊はもう一度出発です。

アライグマくんを先頭にと言うわけですが、クマくんの頭の方が先に出ています。

不本意ながらクマくんが先頭になってしまいました。

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