【アフターストーリー】しゃんぐりらっ!(1)
なんかラブコメ浮かんだんで、書いちゃいます(笑
【アフターストーリー】なので、まさに最終話の後の話です。
本編とか関係なくなると、のびのびラブコメできるなぁ……
「アーク殿」
「なんですか、ハチ子さん」
ここは現実世界の昼下がり。
俺と綾女の、愛の巣である。
「ハチ子はちょっとだけ、不満があります」
俺が黙って頷く。
「鈴屋とラフレシア殿が、新婚旅行から帰ってきたじゃないですか?」
「婚前旅行な?」
「はい。それから、ずっと……」
「分かってる。言いたいことは、すごく分かってる」
例のソファで隣に座って困った表情を浮かべる綾女に、可愛いなぁと思いつつ深く頷いて答える。
綾女の不満は、まさに目の前のこの光景だろう。
「もう、ラフレシア。下着をポイポイとその辺に、脱ぎ捨てないの!」
「この部屋、ほとんど女しかいないんダシ、いーダロ」
「一応、あーにぃの部屋なんだから!」
「オレは一刻も早く、シャワりたいんダ」
「そんなこと言ってると、私も一緒に入るけど?」
「や、ヤメロ。ヘンタイかヨ」
これだ。
なぜだか彩羽とラフレシアが、やたらと入り浸ってくるのだ。
「アーク殿」
「なんですか、ハチ子さん」
「レーナでアーク殿が鈴屋と二人きりになりたい時に、何度もお邪魔をしてしまい、今更ながら申し訳ない気持ちになってきました」
「いやいや、これは何かまた違う気がする」
さて、どうしたものか。
俺も二人きりになりたいのだが、この二人に出て行けなどと言えるわけがない。
綾女も、それは同じだ。
それにこの二人がいると、俺と綾女も楽しいことは楽しいのだ。
ただ……なんというか……突発的にイチャつきたい衝動が生まれた時に、それを我慢せねばならなくなるわけで……
「あぁ、そうだ」
俺が、ポンと手を打つ。
そしてベッドの横に置いてあった、ヘッドギアタイプのダイブシステムを二台持ってくる。
「はい、これ。ハチ子さんのぶん」
俺は簡単に設定をいじると、不思議そうに見上げてくる綾女にひとつ手渡した。
ラフレシアは……シャワー室に入ったようだな。
彩羽は、ラフレシアの脱ぎ捨てた下着を綺麗にたたんでいる。
綾女が帰ってくる前に、よく見た光景だ。
「おーい、彩羽。俺とハチ子さんはゲームしてくるから、ラフレシアとシャワー浴びるなり、勝手に飯食うなりしていいぞ。部屋出るなら、鍵かけてけよ」
「はーい。じゃあ、入っちゃお♪」
にしし顔で笑う彩羽を見て、思わず苦笑してしまう。
いやほんと、よく見た光景だ。
「んじゃあ、行こうか」
「はい。なんのゲームなんですか?」
「行けば分かるって」
話しながら、綾女のヘッドギアを起動する。
「ログインまで設定してあるから、YESを選択して」
「了解しました、アーク殿」
帰還してから初のログインだろうに……素直だなぁ、俺の嫁。
信頼されてる感が嬉しくて、ベッドの上で悶えたいぞ、俺は。
……と、そこで綾女の体から力が抜け、そのまま俺に寄りかかってきた。
どうやら、ログインしたらしい。
ちなみにこの状態でほんの少し揺らせば、ハチ子はログアウトする。
ヘッドギアタイプは家庭用なので、この辺のリアルセーフティがしっかりしている。
ポッドタイプは管理されている状態がデフォだから、直接体に触って起こすとかできないんだよな。
「じゃあ、俺も行こうかね」
俺も目を閉じて綾女に寄りかかるようにし、ログインをする。
強い真っ白な光。
やがて光は七色に変化し、放射状に伸びていく。
そして……
「いやぁ、懐かしいぜ」
強い日差し。
爽やかな潮風。
「アーク殿、ここって」
隣には、黒いワンピース姿のハチ子さん。
「あぁ、レーナだ」
俺は懐かしの忍者姿で、満面の笑みを浮かべて答えるのだ。




