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そして、三門へ(9)

 俺は防衛戦の下準備として、遊郭へと足を運んでいた。

 目的はもちろん彩羽、ラフレシア、七夢さんとの作戦会議だ。

 まず俺が質問をしたのは、なぜこの起こるはずのないイベントが発生したのかだった。

 現在『最果ての斑鳩』を制作した『羅喉(ラーフ)』は、運営として関与していない。

 このイベントは何らかの時限式プログラムなのか、ただのバグか、それとも人為的なモノなのか。

 その答えは七夢さんによって、いともあっさりと明かされてしまう。


「もちろん、私が仕込んだのよ。色々と準備をしてたって言ったでしょ。月の目による記録が残っても、私があなた達を守ってみせる。それが私の勤めであり、大人としての務めよ」


 ふむ。

 七夢さんがそう言うんだから、きっと何とかしてくれるんだろう。

 ってぇことは、レーナ時代のスキルも堂々と使えるってことだ。


「そいつぁ、ありがたい限りだ。んじゃぁ、これはアレか。俺を魔王にした時と同じ、まさに最後の大一番ってやつか」

「そうよ。だからあんたは、必ずハチ子さんを見つけなさい」

「了解したぜ」

 

 しかしまぁ、なんか既に懐かしいな。

 なんだかんだ楽しかったこの世界とも、おさらばか。

 突然にして冒険が終わる感覚も、あの時と同じだ。

 まぁあの時はめっちゃショックで、闇堕ちしかけてたわけだけど……

 じぃーっと、ラフレシアと彩羽を見つめる。


「なんダ?」

「どうしたの、あーにぃ」


 カカカ。

 あぁ、あの時とは違うな。

 今の俺には、心強い仲間がそばにいる。

 あとは何も考えずに、ハチ子を助けるだけだ。

 それだけなら、あの時より全然楽勝じゃないかとすら思えてきた。


「いや、なんでもねぇよ。あぁ、それより七夢さん」

「なにかしら?」

「あの……前に話した凛って娘……あと、白露もか。会ってくれるか?」

「あぁ例の子ね、了解。こっちから、コンタクトを取っておくわ」

「それ助かるわ。そっちは任せるよ」


 さて……凛たちとの約束は、これで大丈夫。

 七夢さんと話すことができれば、あの二人が何なのか色々とはっきりするだろう。


「じゃあ、あとは細かい作戦の内容だな」

「ソレな。ちぃとばかし、オレに考えがアル」

「ほうほう、どんな?」


 しかしラフレシアは、首を横に振る。


「教えないゾ。アキカゲはその場の流れで、臨機応変に行動してクレ。その方がこの作戦は、うまくいくと思うンダ」

「なんだよ、それ」

「要は、あーにぃには期待してるよって意味だよ♪」


 なぜか、ラフレシアの肩をもつ彩羽さん。

 ほんとに仲良くなったな、この二人。

 これが共同生活の成果なのかもしれない。


「まぁいつも通りでいいってんなら、そうするけどよ。期待に応えられなかったら、恥ずかしいんだが」

「大丈夫だよ。だってあなたは、あーにぃなんだもん」


 満面の笑みを見せる女神に対し、俺は頭を掻きながら曖昧に頷いた。

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