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鈴屋さんとドワーフの国!〈2〉

ちょい忙しくてお待たせしてしまいました。

もう少し書きたかったのですが、アップしてしまいます。

かなり短いので、気軽にどうぞ。

「ほへぇ」

「ふわぁぁ」

「ほへぇぇぇぇ」

「ふわぁぁぁぁぁぁ」

 語彙力ゼロの間抜けな言葉を連呼しているのは、俺と鈴屋さんで間違いない。

 俺達はあの巨大な門を人ひとり通れるくらいに開けてもらい、ドワーフの王国へと足を踏み入れたのだが、その見たことのない世界観に言葉を失い、ただただ圧倒されてしまっていた。

 扉の先には、山の中身をまるっとくり抜いたかのような大空洞があり、巨大な地下都市が広がっていた。

 建物もしっかりとした造りで、足元には街道を思わせる石畳が整備され、遠くでは川も流れている。

 さすがに陽の光こそはないが、いたる所に明かりが灯り暗視の能力も必要ない。

 そして、さすがはドワーフの国。道を歩いているのは右も左もドワーフばかりで、異種族といえば行商と思われる人間くらいだ。

「すっげぇ……鈴屋さん、このゲームにこんな世界あったんだな」

「うんうん、これは感動もひとしおだよ!」

 思えば俺と鈴屋さんは効率のいいレベリングと、レアドロップ狙いの戦闘ばかりで、冒険らしい冒険をあまりしていなかった。ドワーフの国自体、聞いたことはあるのだが、クエストとしては旨味がなくて無視していたのだ。

 これほど立派な地下都市があったのなら、もっと早くに来るべきだった。

「なんかアレだね。思ったよりも、エルフに対して差別的じゃないというか……絡んでこないというか」

「そうだねー。門番さんだけだったね。でもきっと話しかければ、みんなあんな感じじゃないかな」

「たぶんな。それでも、わざわざ因縁をふっかけてくるなんてことはないんだから、そこまで険悪じゃないんだろうさ」

 そのへんも往年のファンタジー通りなのかと思うと、どこか嬉しく感じる。あの掛け合いは、言うなれば夫婦漫才のようなもので、実は心の中ではお互いに認め合っているというヲチをいくつ見てきたことか。

 そんなことを考えながら立派な町並みを眺めていると、不意に服の裾を引っ張られる。

「おにいちゃんたち!」

 元気な男の子の声は、俺の腰ほどの高さからしてきた。

 見ればドワーフの男の子が俺を見上げて、にっかりと笑っている。

 うっすら赤い髭が生えてるせいで、もはや何歳だかはわからないが、たぶん人間年齢で10歳くらいだろう。

「おにいちゃんたちが、アフラック様の紹介の人?」

「……アフラック?」

 誰だっけ、と鈴屋さんに顔を向けると、どうやら鈴屋さんはわかっているらしく呆れ顔で答えてくれた。

「ドブ侯爵、ビッグ・ベン・アフラックって名前だよ?」

「おぉ……そうだったっけ。ドブ侯爵って言ってくれないとわからないぜ。あぁっと、坊主。それは俺達で間違いないな」

「オーケィ! じゃあ〜オイラが、ギル・ホルディック様のところに案内するね!」

 ドワーフの子供は親指を立てて自分に向けながら、ニカッと笑う。どこか暑苦しい要素を感じる。

「オイラはドワーリン。この街の案内人さ!」

「そうか、よろしくな。俺は人間でアーク、そっちの超絶かわいいエルフは鈴屋さんだ」

「超絶って……もぅ、ほんと馬鹿……」

 嬉しそうに言うなよ、こっちまで嬉しくなるじゃないか馬鹿野郎。俺の馬鹿野郎。

「オイラ、ドワーフ以外はあんまり見分けつかないからさぁ〜、ちょぅっと確認させてね!」

「お、おぅ。ん? 確認?」

 ドワーリンは説明する代わりに、ニカニカと笑みを浮かべながら、おもむろに近づいてきた。

 そして……


「アイデンティフィケーション!」


 謎の掛け声とともに、子供にしてはごつい手で俺の股間を思いっきり握ってきたのだ。

「はっっぁうわっ」

 全身を鈍器で殴られたかのような痛みが走り、思わず股間をおさえながらうずくまってしまう。

「うん、人間の男だね!」

「なんだそりゃぁぁぁ!」

 体をくの字にして、地面をゴロゴロと転がり悶絶していると、その様がよほどおかしかったのか、我が女神様がお腹を抱えて笑いだした。

「あははっ、あー君、なにそれぇ!」

「なにって、痛いに決まって……」

「はぁい、アイデンティフィケーション!」

 今度は、油断していた鈴屋さんにドワーリンの無慈悲な一撃が炸裂する。

「へ……?…………キャァァァァァァッ!」

 あろうことかドワーリンは、鈴屋さんのスカートを豪快に上へとめくり、股間のあたりをぱんぱんと叩いたのだ。

 無論、地面で寝転がっていた俺には……

「うん、エルフの女だね!」

「んなななななななっ」

 鈴屋さんが顔を真赤にしながら、スカートを押さえつける。

 そして綺麗な水色の目を俺にむけて、何度か口をパクパクとさせた。

 やがてようやく言葉を見つけたのか、振り絞るようにして聞いてきた。

「……見た?」

「…しかと…」

「ば、ば、ばかーーーーっ!」

 鈴屋さんが目をつむり、土の精霊の名前を呼ぶ。

 おパンツの制裁が召喚魔法とか正気ですか、鈴屋さん……などと突っ込む間もなく、鈴屋さんの召喚に応じてノームがひょこっと地面から出てくる。

 そして俺の足先へと、可愛らしい小さな槌を振り下ろしてきた。

 一瞬後、鈍い音とともに遅れてやってきた痛みは、俺の予想を遥かに超えていて……


「いってぇぇぇぇえぇーーーーっ」

 

 俺は思わず大声で叫んでしまっていた。

ぱんつぱんぱんは悟空ですね(笑)懐かしみ

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