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きっと悪い夢を見ていたんだ。
だって、目の前の景色は昨日と変わらないそれだもの…
この世界が、文字や記号の塊なはずがない…
あれは、まるで変化しながら動き続けるプログラムのように見えた。
そんなことを思い出した瞬間また世界はあの時のように変化…いや変換されていった。
「何?また?…い、いや、やめて、やめ…」
私の拒絶の言葉を無視するように世界は…私の世界は変わっていった。
今、私は…通勤途中で、改札を抜けようとしていた。
目の前が記号に染められていく。
そして…自分自身も、記号になって…
私の世界…誰も見たことがない、現実なのに現実ではない。
今、見えているものが何なのかさえわからず…ただ、怯えるだけ…
「助けて…誰か…誰か、助けて…違うの!こんなはずはないの」
「ドウシタ…カオイロガワルイ…」
「来ないで…お願いだから!来ないで!…お願い消えて…全部消えて無くなって!」
「ギャー」
「うあぁぁぁ」
「うっ……」
一瞬、世界中の全てが一斉に叫ぶ…断末魔…そして、静寂が訪れる。
世界から色も光も闇も音も…その全てが消えて無くなって…私だけが…形のない私だけが一人、地面も空も場所に立っていた。