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これは一年前、夏休みの自由研究として学校に提出した作品です。金賞がとれたので一応はちゃんとしていると思います。
「これでも無い…」
ルーナは一つの本を探していた。
埃っぽい図書館の一室には、年老いた老人が1人か2人いる程度で、調べ物をするにはもってこいの状況だった。
「あった…!」
ルーナが手に取った一冊の古い本は『ユートピア』。古代文明についての本だ。
ページをパラパラとめくっていく。
「やっぱり…古代都市の伝説は、本当だったんだ・・!!」
古代都市の伝説。それは、昔考古学者だった父と母から聞かされた話だ。
―この世界の地下には、古代の人々が暮らしていたある巨大都市がある。そこでは現実で考えられないような魔法や夢のような世界が広がっていて、人はそこを、ユートピア(理想郷)と呼ぶ。
このユートピアという場所を探しに行ったまま、ルーナの両親は行方不明になってしまった。その両親を探すために、ルーナはこの本を探していたのだ。
「早くカイに知らせなきゃ!!」
持ち出し禁止と書かれたその本をこっそりリュックにつっこんで、図書館を走ってでた。しばらく田舎道を走っていくと、車の上でくつろいでいるカイを見つけた。
「カイっ!!見つけたよ!ユートピアについて書いてある本!!」
ルーナが大きな声で叫ぶと、カイが怪訝そうに眉間にしわを寄せた。
「ユートピア〜?」
「ユートピア!こないだ話したでしょ?古代文明について。」
少し考えるような素振りをした後、カイが納得したように頷く。
「あぁっ。あれな、地下の人間は魔法が使えるだのなんだのっての。」
「そうそれ!その本を見つけたんだよ!!」
リュックの中から先程の本を取り出し、カイの前に差し出す。
「こんな本どっから…ん?おいお前っ!この本持ち出し禁止って書いてあるぞっ!?」
「大丈夫大丈夫っ。ちょっと借りただけだし♪ばれないって。」
そう言ってルーナは、本の重要な事の書いてあるページを開く。
「ほらここっ、ユートピアに行くにはってとこ、よく見て!」
ルーナが指さした場所には、こう書いてあった。
―ユートピアに行くには、シュネルク山の滝の裏にある洞窟・・・
「・・シュネルク山って、ここの裏じゃねぇかよ!!」
「そう!あそこ!これからあたし、あそこに行ってみる!!」
もう既に探検のための物は用意した。あとはこの場所に行くだけだ。
「ちょっ、待てよお前っ。お前の両親がそんなへんてこな場所にいるなんて限らないだろ??もし行っ
てみていなかったらどうすんだっ?」
「そりゃあいるかどうかなんてわからないけど・・・・でも、このままなにもしないでいるなんてあたしできないのっ!このまま待ってても、お母さん達は帰って来ないような気がして・・・・」
しばらくカイは考え込んでいたが、途中で一つため息をついて立ち上がった。
「仕方ねぇな・・・俺も着いてってやるよ・・・・」
「えっ?本当??」
「だってお前みたいなドンくさいのが一人で行ったところで、どうにかなるわきゃねぇだろ?それに・・・・」
「それに?」
「俺、こういう冒険、一度でいいからやってみたかったんだよなっ」
―こうしてあたし達の冒険が、幕を開けた。
読んでくれてありがとうございました。下手な文章だと思いますが、少しでも楽しんで読んでくれる方がいたらうれしいです。