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仲直りと迫りくる敵




 「・・・ふふっ

  優くんの・・・香り・・・」




   ガヤガヤ・・・

        ガヤガヤ・・・




  ベットの中で私がもぞもぞして

 布団に残る優くんの匂いを堪能していると

 屋敷の中がだんだん騒がしくなってきた



 「・・・なんだか騒がしい・・・?

  せっかくベットに付いた

  優くんの香りを堪能してるのに・・・

  集中できない・・・」


  騒がしい声の中から

 優くんの声が聞こえてきたから

 私は仕方なくベットから起き上がる



  声が聞こえてくる場合に向かってみようかな?



  そう思って部屋から出ると

 なぜか屋敷が私達が来たときより

 屋敷が綺麗になっている気がする




  廊下なんて私の顔が反射してまるで鏡みたい

 




  声の居場所は昨日の部屋?



  部屋のドアを開けて中に入ると

 そこに広がる光景を見て唖然とする







 「・・・優くん、何してるの?」



  そこにはエプロン姿の優くんと


  なぜか床に這いつくばってる

 ボロボロのシェリーさんがいた




 「あぁ京子、おはよう」


  いつもなら優しく微笑んでいる

 優くんの姿にキュンとくるんだけど


  今は床に這いつくばってるシェリーさんが

 気になって仕方ない


  私がシェリーさんの方を見ていると

 優くんが状況を教えてくれた


  どうやら優くんとシェリーさんで

 掃除や洗濯、炊事とかの

 家事全般の技術がどちらが上か

 対決していたみたい



  それで屋敷のいたるところが綺麗だった訳ね



  優くんの説明が終わると

 ゆっくりとシェリーさんが立ち上がり


 「まだまだ勝負はこれからです・・・!」


  そう言いながら優くんを睨みつける

 でも威勢のいい言葉とは裏腹に

 足がガクガク震えている



 「無理をするな

  少しは休んだらどうだ?」


 「いいえ!

  ここで負ける訳にはいきません!!」


  家事の勝負をしてたんだよね?


  どうなったらこんなことになるんだろう?

 

  私が二人を眺めていると広間のドアが開いて

 ファムちゃんとメアちゃんが入ってきた


 



 ーーーーーーーーー





  京子に状況を説明し終わると

 ファムとメアが広間に入ってきた


  シェリーの様子を見ると

 二人ともため息をつく


 「もういい加減にしたら?」


 「そうそう、新人君も呆れてるよ」


 「いや、別に呆れてる訳じゃないが・・・」


  実のところ

 シェリーは料理が【あれ】なだけで

 それ以外のことはきちんとできていた


  掃除は効率よくしていたし

 やる気が空回りしているだけで

 普段なら今回以上に動けているはずだ


 「慰めならけっこうです!」


  そう言ってそっぽを向くシェリーに

 俺は一つ提案してみる


 「シェリーがファムとメアに

  自分の料理を食べてほしいのは分かる・・・」


  俺がそう言うと

 シェリーは顔を真っ赤にしながら

 慌てて怒鳴ってくる 


 「っっ!?べ、別に私はそんなことを

  考えていたわけではありません!!

  勝手に分かった気にならないで下さい!!」


  シェリーはそう言っているが

 料理対決のときの真剣な顔を見ていれば

 誰でも分かる


 「優くん、あまりそういうことは

  気づいても言わない方が・・・」



  なにやら京子が気の毒そうに

 シェリーを見ているが俺は構わず続ける



 「だからひとまず、俺がシェリーに

  料理を教えるってことでどうだ?」


 「・・・えっ?

  ファム様に食事を

  召し上がっていただける名誉を

  わざわざ放棄するんですか?」


 「シェリーはきちんと家事をこなしているのに

  それをわざわざ俺がする必要はないだろ?

  それに二人に美味しい料理を

  作ってやりたくはないか?」



  そう言って俺は

 こっちを睨んでくるシェリーに

 優しく微笑んだ




 「えぇ~・・・

  私はもっと新人君の

  美味しいカレーが食べがぁっっ!!」



 「・・・シェリー、ここは優の提案に

  甘えたらどう?」



  よけいなことを言おうとした

 メアの口を強制的に塞ぎ

 ファムがシェリーに優しく言う


 「・・・あなたがそれでいいのなら」


  そう言ってシェリーが

 俺に手を差し伸べる


 「これからよろしくな」


  差し伸べられた手を

 握り返すとファム達もホッとため息をはく


 「むぅ、なんだかいい雰囲気っぽくて

  いいな~」



  京子のじっとりとした目を無視して

 俺とシェリーはめでたく和解した





 「よかったわ・・・」




 嬉しそうに俺とシェリーを見るファム



 「・・・ところでそろそろメアを

  離してやったらどうだ」


 「く、苦しい・・・息が・・・」


  さっきファムに口を塞がれてから

 メアは息ができすに顔が青白くなっている


 「あぁ!!大丈夫!?」


  慌てて手を離してファムが

 真っ青な顔をしたメアに謝る



  いつもと違う騒がしい朝を迎えながら

 俺は思わず笑ってしまった





 ーーーーーーーーー





 「フッフッフッ・・・」


  ファム達の屋敷から遠く離れた大陸の

 人間達の国ではファム達の屋敷の屋敷とは

 比べものにならないほどの大きさの城の

 玉座に座る小さな少女が笑っていた


  少女の前には鎧をまとった三人の騎士が

 横一列に並んでおり三人とも違った武器を携えて

 その場でひざまずいている


 「姫様、もうすぐ

  ファム・スルトの屋敷に

  ソフィーが到着いたします」



  声からして騎士は女性らしい



  騎士の言葉を聞くと

 小さな姫は小さく笑う


 「そう、それじゃあ次は私たちの番ね」


  俺たちが屋敷で騒いでいる間に

 人間達が動き出していた





 ーーーーーーーーー





 

  ファムの屋敷の近くの森に

 一人の騎士がやって来た


  その手には自分の身長を軽々と超える

 巨大な鎌を持っている


 「四天王を全員倒せば

  姫様は喜んでくれるかしら?」


  楽しげに呟きながら

 騎士はファムの屋敷に向かって歩き出した

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