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料理係のプライド









 「うぅぅ、や、やめろ京子・・・

  これ以上は・・・はっ!!」








  朝、うなされて目が覚めると

 俺はベットの上でなぜか上半身裸になっていた





 「・・・」





  隣のこんもりと盛り上がった布団をめくると

 京子が幸せそうニヤニヤしながら

 猫のように丸まって寝ている



 「うへへ・・・優くん・・・」




  俺は黙って布団を京子にかけ直すと

 一旦落ち着いて昨夜のことを思い出す






 ーーーーーーーーー






 「ちょっと落ち着け京子・・・」



 「何言ってるの、優くん

  私は落ち着いてるよ?」



 「そうか・・・

  だったら俺の服をはぎ取ろうとするのを

  今すぐやめてくれないか!?」



  あの後ベットに押し倒された俺は

 なぜか鼻息が荒くなった京子に

 服をはぎ取られてしまった



  すでに上半身は裸になっていて

 京子の手は俺のズボンを引っ張っている



 「どうしたの優くん?

  あっ、もしかして恥ずかしい?」


 「そう言う問題じゃない!!

  こういうことは

  もっとお互いが理解しあってからだな・・・」


 「私とじゃ・・・ダメ?」



 「・・・!」



 「やん♡!!

 優くんったら!」




  俺が言葉に詰まったのを

 照れていると勘違いしたのか

 京子がベットの上でくねくねしだす




  それから京子は目をハートマークにして

 俺に覆いかぶさってきて・・・




  ・・・あれ?

 そこからどうなったのか思い出せない

 





  ・・・ゾクッ・・・






  思い出そうとするとなぜが背筋が凍った

 



 ・・・まぁ思い出せないものは仕方ないよな




  これ以上は思い出すなと

 脳が警報を鳴らしている気がする




  昨夜のことをなるべく思い出さないようにして

 俺は京子を起こさないように

 ゆっくりとベットから起き上がり

 とりあえず昨日のファム達と

 カレーを食べた部屋に向かう






 ーーーーーーーーー






  昨日の部屋の前にたどり着き

 ドアを開けようとすると



 「いやぁぁぁ!!」

 



 「ッッッ!?ファム!!!」




  部屋の中からファムの悲鳴が聞こえた

 その声に驚いて慌ててドアを開けると・・・





  そこには・・・





 「ファム様!!

  好き嫌いはよくありませんよ!!」


  虹色の怪しいスープを

 飲ませようとファムに迫るシェリーと


 「好き嫌いとかいう問題じゃないでしょ!!」


  シェリーに追い詰められて

 涙目になっているファムがいた



  床にはなぜか真っ青な顔をした

 メアが横たわっている





 「・・・なにをやってるんだお前ら」




  てっきり話しに聞いた

 人間達の襲撃があったと思い

 焦っていた心が一気に冷める




 「優!!いいところに来たわ!!

  お願い助けて!!」


  俺に気づいたファムが

 シェリーに押さえつけられながら叫ぶ


 「新人君、シェリーを止めて・・・」


  メアが真っ青な顔で床に横たわりながら

 俺に向かって手を伸ばす


  仕方なく俺はシェリーに近づき

 虹色のスープを取り上げる


 「何をするんですか!

  出雲様!!」


 「それはこっちのセリフだ

  何だこの気味の悪い液体は?」


  俺の問いにシェリーは悪びれもせず

 堂々と胸を張って答える



 「何って、見て分かりませんか?

  野菜スープですよ」



  シェリーの答えに俺は呆れながら

 野菜スープ(?)を見る


 「俺の知ってる野菜スープと

  色々と違うんだが?」


 「ファム様の健康のために

  色々と考えながら作りましたから」


 「味見は?」


 「もちろんしました」





  俺はシェリーの意外な答えに戸惑う




 

  味見したってことは

 こんな見た目でも意外と味は普通なのか?




  俺が一人で悩んでいると

 床に横たわったメアが叫ぶ



 「騙されちゃダメだよ新人君!!

  それを人間の君が飲んだら命が危ないよ!?」


  メアの叫びを聞いて俺は

 野菜スープの味がまともなら

 メアが横たわっているはずがない

 ということに気づく



  メア口ぶりからして

 このシェリーのスープを飲んだのか・・・



  可哀想に・・・




 「もうやめなさいシェリー

  あなたも分かっているでしょう?」



  俺とシェリーが話している間に

 変にかしこまった口調のファムが

 シェリー肩に手を置いて説得する



 「おとなしく優を

  この屋敷の《料理係》として認めなさい」



 「くっ!!!!」





  その言葉を聞いたシェリーは

 不満げに俺の方を睨んでくる


  本気で悔しそうだ・・・





 「そんなことで騒いでたのか・・・」




  ファムの話を聞いて

 今の状況を理解した俺は呆れる


  さっきまでの出来事はすべて

 シェリーが料理係に任命された俺が

 気に入らないのが原因だったらしい




  そういえば昨日の夜に

 ファムからそんな話をされたような・・・




  俺の態度を見たシェリーは

 親の敵を見つけたような顔をすると



 「私は、あなたを料理係として

  認めていませんから!!」



 「じゃあ、どうすれば

  認めてくれるんだよ?」



  俺が聞くとシェリーは

 迷うように顎に手を当て少しの間考えると

 何か思いついたように俺を指差しなから言う




 

 「決闘です!!」





 「・・・は?」



  俺の戸惑いも気にせず

 シェリーはもう一度俺に言う







 「私と1対1で決闘です!!!」






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