ー転移門決戦編ー 敵の正体
「ここは平和になった」
そんなセリフが自分の周囲から聞こえてくる
今まで一緒に
死線をくぐり抜けてきた戦友たちが
離れた場所で肩を組んで笑い合っていた
「これでもう戦わなくていい」
そう言って誰もが安堵した表情を浮かべていた
だが・・・
ここに表情を曇らせる老人が一人いた
「平和・・・平和か・・・」
《少し前》の魔界は
魔族たちの戦争が各地で行われ
怒号と血しぶきが絶えないような
そんな混沌とした場所だった
そんな世界に
一人の圧倒的な力を持つ魔族が突如現れた
それが現在の魔王である
サタンは圧倒的な魔力と
比類なきカリスマ性で
魔界をあっという間に統一してしまった
そんなサタンに感化される魔族も少なくなく
《魔王軍》と呼ばれる団体ができあがり
まもなくそれは魔界を統一するまでに成長した
・・・もう血まみれで戦わなくていい
・・・誰からも命を狙われない
・・・殺したい相手も特にいない
そんな平和な世界
「退屈じゃ」
・・・老人は戦いたかった
命を賭けた戦いの中で今の強さを手に入れた
・・・老人は戦うべきだった
平和な世界に退屈を感じていた
・・・老人は、戦いの中で死にたかった
自分が死ぬのは血にまみれた戦場だと思っていた
だが待っていたのは
平和に魔族と人間たちが手を取り合う世界
「退屈じゃ」
・・・老人は死に場所を失った
「すいません、そこのご老人」
そんな老人に
関わろうとする《青年》がいた
「いきなり現れてなんですが・・・
自分と一緒にこんな世界を
めちゃくちゃに壊してみませんか?」
「何者じゃ、お主」
老人の前に突然現れた
不気味な《青年》は
歴戦の老人の目をもってしても
力量が測れなかった
・・・とてつもなく弱くも見えるし
・・・あの魔王と同格のようにも感じる
そんなあり得ない印象を
同時に与えるような
ちぐはぐな雰囲気を持つ《青年》だった
「自分が何者かですか?
・・・う~ん自分は少し前に
ちょっとした事情で
元の名は捨ててしまいまして・・・
なので残念ながら自己紹介はできません
ですがあなたのことは存じ上げています」
そう言って《青年》は
老人のすべてを見透かしたように笑うと
ゆっくりと老人に手を差し伸べた
「自分はこんな世界を元の血にまみれた・・・
いえ、それ以上に血の流れる
誰もが産まれてきたことを後悔するような
そんな世界にしたいんです
そのためにあなたの力が必要です
どうか力を貸していただけませんか?」
「見ず知らずのお主に
素直に従えというのかのぅ?」
「はい、自分と一緒にいれば
好きなだけ死ぬチャンスがありますよ
まさかこの手を払ったりしませんよね?」
なおも《存在》は老人に手を差し伸べる
断られることなど
最初から考えてもいないようだ
「断ると言ったら?」
「言いませんよ・・・
だってあなたも自分と一緒で
この世界に退屈を感じてますから」
老人はそんな《存在》の態度が
正直なところ気にくわなかったが・・・
「・・・いいじゃろう
わしにできることなら協力させてほしい」
老人はこんな今の世界に飽きていた
「ありがとうございます、そしてようこそ
【カーディナル・ヘルヘイム】
《死にぞこないの救済機関》 へ」
そう言って《青年》は
まるで仮面のような無機質な笑顔を浮かべた
気がついたらなんだかんだで投稿を始めてから
いつの間にか【1年】も経っていました!!
∑(OωO; )マジ!?
こうやって不定期ですが
1年間も小説を投稿し続けられたのも
いつもこの小説を読んでいただいている
読者の皆さんがいてくれたからだと思います
不定期投稿にもかかわらず
優しい言葉を感想やメッセージで
送ってくださった方もいました
その言葉に元気づけられたことも
一度や二度ではありません
相変わらず話しの展開が遅いですが
これからも応援していただけたらと思います
ではまたの投稿をお楽しみに・・・
(*´ω`*)ノ コレカラモ、ヨロシク!!




