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魔王の面接





 「「「お待たせしました魔王様!!

    この男が出雲優です!!」」」





  そういうと三人は俺を部屋に放り込み

 すぐに勢いよくドアを閉めた



 「いきなりなんなんだ・・・」



  俺はまだ少し痛む体を起こして

 放り込まれた部屋のようすを確認する



  部屋の中は薄暗く

 壁には大量の分厚い本が入った本棚や

 ドラゴンの頭(?)の剥製が飾ってあった



  部屋の中を一通り眺めていると奥の机の上に

 世界地図のようなものがあるのに気づく




 「これは・・・?」




  地図には巨大な大陸が四つ描かれていて

 そのうちの最も大きな大陸に

 真っ赤なバツが書き込まれている






 「なんだこれ?」







  ガシャン・・・




  俺が地図を見るのに夢中になっていると

 背後から何か動くような音が聞こえてきた


  音に驚いて振り返るといつの間にか

 背後に見上げるほど巨大な鎧が立っていた





 「っっっーーー!?」





  鎧にはいたる所に傷や返り血がついていて

 見ただけでかなり傷んでいることが分かる



  驚いて鎧から距離を取ろうと後ずさりした時

 鎧の中から地の底から響いてくるような

 恐ろしい声が聞こえてきた


 「貴様が出雲優か?」


  突然現れた鎧から聞こえてきた恐ろしい声に

 思わず逃げだしそうになりながらも

 目の前の鎧から目を離さずに答える


 「・・・あぁ、そうだ

  あんたが魔王か?」


  魔王なんて

 ファンタジーな存在は信じられないが

 目の前の鎧を見ていると思わずそんなものが

 存在しているかもしれないと思ってしまう




  それだけの威圧感が

 目の前の鎧から放たれていた




 「いかにも、私が《魔王》サタンだ」



 「俺に何か用か?」


  その問いかけに魔王は

 不思議そうに首をかしげる


 「大抵の奴は

  私の姿を見ただけで逃げ出すが

  貴様は逃げんのか?」


 「逃げようにも

  あんたから逃げきれる自身がないんでね」


 「フッ、そうか・・・

  なかなか面白そうな奴だ

  ファムはいい人間を拾ってきたようだな」


  そう言って俺の目の前まで

 魔王がゆっくりと迫ってくる


  あまりの威圧感に

 俺は何歩か後ずさりしてしまう


  さっきから全身の冷や汗が止まらない




 「何を・・・するつもりだ・・・」




  いつでも逃げ出せるように

 俺が身構えると

 不意に魔王は俺の肩に優しく手を置いた





 「・・・採用だな」


 



  次の瞬間

 魔王の姿が目の前から消失し

 さっきまでの威圧感が嘘のように消える




  俺は安堵してその場で

 膝をつきゆっくりと息をはいた



 「何だったんだ

  いったい・・・」


  俺が一人で悩んでいると

 部屋のドアが突然開き

 京子が俺に向かって駆け寄ってくる


 「優くん大丈夫!?

  変なことされなかった!?」


  そう言いながら京子が

 体のあちこちを触って確認している

 後からファムとシェリーとメアの

 三人も部屋に入ってきた



 「何かありましたか?」

 


  床に座り込んでいる俺を見て

 心配したのかシェリーが聞いてきた


 「何もされてない

  ・・・ただ採用って言われたぐらいだ」


 「えぇ!

  魔王様が直々に!?」



 「えっ?

  これでいいんじゃないのか?」




  てっきりファムがスカウトだなんだと

 家のリビングで言っていたから

 これで合格とかではないのか?



  そう思っていた俺はファムに尋ねる



 「よくないわよ!

  あなたは私の部下で

  魔王様の部下じゃないのよ!!」



 「まぁまぁファム様

  落ち着いてください」


  俺の話を聞いて

 突然怒り出したファムを

 シェリーが横からなだめる


 「特に怪我はしてないみたいだけど・・・」


  チェックが終わったのか

 京子が静かに立ち上がった


  だが何か思うところがあるのか

 傍に立っているファムの瞳を見つめながら

 真剣なトーンで話しかける



 「・・・ファムちゃんは、

  優くんにいったい何をさせたいの?」



  京子に見つめられたファムは

 俺の手を取り

 起き上がらせると京子の瞳を見つめ返す


 「そうね、ちゃんと話すわ

  私達のことを・・・」


  そして俺と京子の顔を交互見た後

 真剣な口調で言う



 「魔界は今、

  〈人間〉達に侵略されているの」



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