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子ども達に迫る驚異


 「ねぇ、やっぱり

 こんなことするのは良くないよ

 ・・・街に戻ろう?」


 「へっ!何ビビってんだよ」


 「そうだそうだ!!

 騎士様が魔族と頑張って戦ってるんだ

 この食べ物を持っていって

 早く元気になってもらおうぜ!!」


  三人組の子ども達が歩いているのは

 街の近くの広い草原だった


  少し離れた場所には

 遠近感が狂いそうなほど巨大な門が建っている


 「あれが【転移門】ってやつか~」


 「あの向こうに騎士様がいるんだよな!!」


  男の子の二人組は食べ物がパンパンに詰まった

 袋を協力して運びながら

 【転移門】を楽しそうに見ている


 「イッくん、ムッちゃん・・・」


  そんな様子の二人を後ろから

 おどおどとした小動物のような

 気の弱そうな女の子が一生懸命ついてくる


 「行くぞ!!

 リカ!ムッちゃん!」


 「おーーー!!」


 「ま、待ってよ~」



  子どもたちは【転移門】に向かった


  門の向こう側に

 

  何が待ち構えているのかも知らずに・・・





  ーーー数時間前ーーー





 「ちょっと、そこの子どもたち」


 「ん?」


  みんなと避難所を抜け出して

 街で楽しくかくれんぼしていたときに

 その老人は突然話しかけてきた


 「おじさん、誰だよ?」


  街の子ども達のリーダーである

 イッくんは話しかけてきた老人に

 背後に他の子どもを

 かばうようにして立ちふさがる



  地味な服装に白髪混じりの髪の毛


  曲がった腰に手に持った杖


  そこにいたのは

 まさに絵に描いたような老人だった



  老人は曲がった腰をさらに曲げて

 子ども達の目線に合わせてしゃべりだす


 「そんなに警戒しないでおくれ・・・

 君たちにちょっと頼みがあるんじゃが」


 「頼み?」


  そう言って老人は背後を振り返る 


  するとそこにはたくさんの食べ物が

 パンパンに詰められた袋が置いてあった


 「この食べ物を魔界にいる

 騎士様のところへ届けてくれんかの?」


  優しそうな顔をしわだらけにして

 老人は子ども達に笑いかける



  ・・・怪しい



  子ども達は真っ先にそう思った


  日頃から街の騎士達やギルバートに

 『知らない人に話しかけられても

 ついて行ってはいけない』

  と、教えられていたからだ



 「おじさん、俺達は・・・


  ーーーーーーーーッッ!!」



  老人の前に立ちふさがっていた

 イッくんが老人を警戒して追い払おうとしたとき


  

  「  お 願 い じ ゃ  」



  一瞬・・・


    老人の瞳が光ったのをリカは見た


             ・・・ような気がした

 


  「「「わかった!!」」」


  「えっ、みんな・・・」


  目の錯覚かと思って

 リカが目をこすっていると

 突然他のみんなが老人に歩み寄った


 「任せろよおっさん!!

 その食べ物は

 俺がきちんと送り届けてやる!!」


 「そうかそうか・・・頼んだよ」


  そうしてイッくんは

 たくさんの食べ物が詰められた袋を

 老人から受け取る


 「よし!!

 俺はこの食べ物を騎士様まで届けてくる

 他のみんなは留守番だ!!」


 「「「えーーーっ!!」」」


 「なんだよ!文句あるのか?」


  ポカンとしているリカを置いて

 他のみんなが老人の前で

 誰が騎士様のところへ行くかの言い争いを始めた


 「えっ・・・えっ・・・?」


  突然のみんなの心変わりに

 リカはどうしていいか分からず

 その場で混乱しだす


 「・・・ん?」



  そんな様子のリカを老人は見逃さなかった



 「じゃあ、わしが

 誰が行くか決めてやろう」

 


  目の前で袋を取り合っている

 子ども達を見て老人がそう言った


 「「「はーーーい!!」」」


  そして子ども達は

 素直に老人の言うことに従う


  老人は少しの間考えると

 みんなのリーダーであるイッくんと

 ムードメーカーで力持ちのムッちゃんを指名した


  さらに目の前でウキウキしながら

 名前が呼ばれるのを待っている

 他の子ども達を無視して

 老人は顔を上げると言った


 


 「そして・・・お嬢ちゃん、君もじゃ」



  

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