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人間達の事情



 「おぉぉぉ・・・」




  門を抜けると広い草原に出た



  青い空



  空を飛ぶ鳥達の鳴き声



  草原を駆け抜ける風




  不思議とここにいるだけで

 心が落ち着いていく気がする


  辺りを見回すと遠くに

 街のようなものが見え

 街の中央には巨大な何かが建っている


 あの建物がギルバートが言っていた城だろうか




 「行くぞ」




  ギルバートが街に向かって

 草原を歩き始める


  踏みしめる草の感覚や気温など

 元の世界と全く変わらなかった


  その感覚に一人で勝手に安心すると

 俺はギルバートの後を追って

 離れた街に向かった




  すると街に近づくにつれて

 街の細部が見えてくる





 「なんだ・・・これ・・・」





  そこにあったのは崩壊した街だった


  街自体はかなりの広さだが

 その大半の建物が崩れていて

 街の全体を地上でも見ることができた


  地震で崩れたような建物もあれば

 水浸しの建物や全焼して

 真っ黒に焦げた建物もある


  街の中心地に繋がる大通りには

 破られた幕や粉々になった

 組み立て式の屋台の残骸が続いている 


  無事なのは街の中心に建つ巨大な城だけ


  あまりにも異常な景色に言葉を失う




 「魔族よ」

  



  街の景色に唖然としている俺に

 ソフィーが横から話しかけてきた


 「少し前に王が病気になって

 その王の息子が後を継いだの

 私達は新しい王ために

 国をあげて祭を開いたわ・・・

 街のみんなも協力して

 とてもすてきな祭になるはずだった・・・

 でも、祭の当日に突然魔族が現れたの」


  ソフィーの話を聞きながら

 俺達が街に入ると

 崩れた建物のから子供達が現れ

 ギルバートのところへ駆け寄って来た



 「《騎士王》様!!

 魔族をやっつけてきてくれた?」



 「あぁ、当然だ

 悪い奴は俺が退治してやったからな、

 お前らこそこんな所で遊んでないで

 避難所で大人しくしてろよ」



  そう言ってギルバートは子供達の

 頭を優しく撫でる


  ぶっきらぼうな物言いだが

 子供達はギルバートに懐いているのか

 気にせずニコニコと笑っている



 「あの子達の家は

 みんな魔族に壊されたわ」



  俺の隣で子供達を見ながら

 ソフィーがつぶやく


 「今も復旧作業を進めているけど

 新しい家が建つまで

 しばらくは窮屈な暮らしを

 させてしまうわね」




 「そんな・・・」




  俺はソフィーの言葉に耳を疑った



  これを魔族がしたのか?


 

  ファム達は人間達が突然

 魔界に侵略してきたって言っていた



  でもこの街は

 新しい王のために祭をしていたら

 突然現れた魔族達に街を破壊された





  どういうことだ?




  魔族と人間で言ってることが違うぞ?


  ファム達が嘘をついていた?


  先に攻撃を仕掛けたのは魔族なのか?






  俺が一人で頭を抱えていると

 ギルバートが子供達のところから戻ってきた


 「悪いな、待たせちまって

 早く城に行くか」


  そう言って

 ギルバートは再び街を歩き始める


 「あぁ・・・」


  まだ頭が混乱しているが

 少しでも正しい情報を得るためと

 この世界のことを知るために

 ギルバートの後について行こうとすると

 さっきギルバートに話しかけていた

 子供達と目が合った


 「なっ、なんだお前!?

 《騎士王》様に近づくな!!」


  元の世界と変わらず

 俺の外見に子供達が怯える


 「・・・」


  俺の外見を見ても怯えずに

 接してしてくれる人の方が

 少ないんだよな・・・


 「俺は・・・」


  子供達と打ち解けようと

 話しかけようとしたが自分のことを

 なんと言って説明すればいいか

 分からずに俺はその場で固まってしまう


 「何をしてんだ?

 早く行くぞ」


  その場で立ち止まっていた俺の手を

 ギルバートが無理矢理引っ張る


 「事情を知らないんだ

 あいつらのことを悪く思わないでくれ」


 「・・・」 



 「ギルバート様!!以前は稽古を

 つけていただきありがとうございました!!」


 「ソフィー様!!

 奇襲作戦お疲れさまでした!!」


  城に近づくにつれて

 鎧姿の人数も増えてきた


  すれ違うたびに

 騎士達がギルバートとソフィーに向かって

 挨拶や感謝の言葉をかける


  城の敷地内に入ると

 ギルバートが王に報告すると言って

 別方法に行ってしまった


 「じゃあ、行くわよ」


 「あぁ・・・」


  俺はソフィーに連れられて

 城の中に入る




  城の中は豪華だった

 元の世界のベルサイユ宮殿も

 こんな感じだった気がする


  所狭しと絵画が飾られていて

 高そうな壺やふかふかの絨毯など

 見ていて落ち着かない


  元の世界とは違い何人か武器を持った

 騎士が廊下を歩いているが・・・


 「子供達のことを気にしてる?」


  俺が辺りを見回しながら

 歩いているとソフィーが横に並んで

 話しかけてきた


 「気にしなくていいのよ?

 子供なんて大体

 初対面の相手を恐がるようになってるんだから」


 「あぁ・・・」


 「それと、その・・・

 ファム・スルトの屋敷にいた

 女の子の事なんだけど・・・」


 「・・・・・・」


 「あれ?ちょっと・・・」


  正直言うと

 子供達に恐がられるのは慣れている



  それより気になるのは

 ファム達とギルバート達の意見が

 矛盾していることだ


  どうやら京子は俺みたいに

 ファム達のところから

 連れ去られてはないようだが


  騎士達の話が本当なら

 魔族と一緒にいることは

 むしろ危険かもしれない・・・


  ファム達のことを疑うつもりはないが

 魔族達の中に好戦的な奴がいるのか?


  とりあえずファム達と一緒なら

 京子のことは心配しなくてもいいだろう


  今、考えるべきなのは

 この世界で何が起こっているのか

 真実を知ることだ


  なら俺がとるべき行動は・・・


  俺が黙って一人で考え出すと

 そっとしておいた方がいいと考えたのか

 ソフィーも静かになった




  しばらく城の廊下を進むと

 一つの部屋の前についた


 「ここに医者がいるわ

 かなり腕はあるんだけど・・・

 その、気をつけてね・・・」


 「?」


  そう言ってソフィーは手を振りながら

 俺を置いてそそくさと行ってしまった


 「悩んでてもしょうがないか・・・」


  街の子供達の怯えた目や

 ファム達のことを一旦忘れると

 俺は覚悟を決めて扉に手をかけた






  カチッ・・・






 「なんだ?」


  扉を開けると

 何かのスイッチを押したような音が聞こえた



  次の瞬間





 ドカーーーーーーーン!!!!!





  扉の奥から

 とんでもない爆音と共に

 熱と衝撃が襲ってきた


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