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人間達の城への道


  部屋から廊下に出ると

 窓から外の景色が見えた


  簡単な作りだが

 多くの建物が建っていて

 外にはギルバートやソフィーと

 同じような鎧を着た人が大勢歩いている


  すると開いた窓から

 窓のそばの道を歩く

 男達の声が聞こえてくる



 「魔族達がいた場所だってのに

 平和なもんだぜ」


 「本当だよな、

 もっと魔族と戦うのかと思ってたのに

 拍子抜けだ」



  どうやらここは

 ファムが言っていた

 人間達に乗っ取られた領土らしい



 「あれ?

 もう帰られるのですか?」


  俺が窓から外を眺めながら

 ギルバート達と廊下を歩いていると

 前から小柄な少年が

 こっちに向かって歩いてきた


 「あぁ、レオか

 こんなところで何してんだ?」


 「僕ですか?

 僕はセレスさんに用がありまして・・・」


 「もしかしてコイツか?」


  そう言ってギルバートは

 後ろにいる俺を指差す


 「あっ!!

 意識が戻ったんですね!」


  レオと呼ばれた小柄な少年は

 俺を見つけると

 気さくに話しかけてきた


  元の世界で子供と

 会話するどころか

 目を合わせられたことすらない俺は

 どう対応するのが正解なのか分からず


  とりあえず恐がられないように

 優しく笑いかける




 「俺を心配してくれてたのか?」


 「えっ?」



  俺の言葉に首をかしげたレオは

 当然のように言う



 「怪我をしている人の心配をするのは

 当然のことですよ!」




  ・・・なんて良い子なんだ


  子供にこんなに優しくされたのは初めてだ


  これが・・・優しさ・・・




  俺が一人で感動に打ち震えていると

 隣でソフィーがレオに話しかける


 「これから私達は城に戻るわ

 詳しいことはセレスに聞いておいて」


 「分かりました!」

 

  そう言うとレオが

 俺達の横を通り過ぎて

 セレスのいる部屋に向かっていった


 「優しい子供だな・・・」


 「何言ってるの?

 私達人間は助け合わなきゃ

 生きていけないのよ

 あの子が特別って訳じゃないわ」


  俺が遠ざかっていくレオの

 背中を見ながらつぶやくと

 ソフィーが少し悲しい目をしながら言った


  そんな俺達の様子を見ていたギルバートは

 レオの背中が見えなくなってから

 再び歩き始めた




  ギルバートについて行き

 騎士達がいた広場から出て

 深い森を抜けると

 目の前に見上げるほど巨大な門が現れた


  門の周りには

 武装した騎士達が配置されており

 厳重に警備されている



 「なんだ・・・これ?」


 「《転移門》を知らねぇのか?」



  門を見上げて

 呆然としている俺にギルバートが振り向く



 「これが・・・」


  ファムから《転移門》の話は

 聞いていたが正直想像していたものより

 はるかに大きかった


  そんなことを考えていると

 目の前の門が開き始める


  門の反対側には深い森があり

 門が開いたところで見えるのは

 反対側の景色のはずだが


  実際に見えたのは広大な草原だった



 「???」



  混乱している俺に構わず

 ギルバート達はどんどん進んでいく


  そうして俺は

 魔界から人間達が住んでいる

 人間界へ足を踏み入れた


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