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出雲優の行方


 「はぁ、もう少しで

 ファム・スルトを殺せたのに・・・」


  ファムの屋敷から逃げたソフィーは

 乱れた息を整えながら

 隣で気絶している優を見下ろす


 「なんで私の魔法が効かなかったのかしら?

 魔法が効かない魔族なんていないはず・・・

 ちゃんと調べないとダメね」


  そう言ってソフィーは

 大柄な優を軽々と担ぎ上げる


 「それに屋敷にいたもう一人の

 人間の女の子・・・

 下手に上に報告すると

 《四天王》と直接対決なんて

 血みどろの未来しか見えないし・・・

 どうしようかしら?」


  そうつぶやきながら

 ソフィーは森の中へと消えていく





 ーーーーーーーーー






 「僕、怒られるかな・・・」


 「・・・知らない」


 「あの時、僕がソフィー様を

 止めていれば

 こんなことにならなかったのに・・・」


  童顔の少年が

 部屋の真ん中に置かれたイスに座って

 うなだれている


  話し相手は部屋の隅の机に座り

 書類に延々と判子を押している白衣を着た

 無表情な女性だ

 

  少年が落ち込んでいるせいで

 部屋の空気が重くなっている


 「過ぎたことは仕方ない

 もし怒られたなら、素直に謝った方がいい」


  落ち込んでいる少年がうっとうしいのか

 女性は早々と話を終わらせようとしている


 「でも、セレスさん!

 相手はあの《騎士王》様ですよ!!

 謝った程度で許してもらえるとは思えません!」


  セレスと呼ばれた女性は

 いつまでもうじうじしている少年にイライラした

 のかイスから立ち上がり

 少年に文句を言おうとする


 「セレスいる~?」


  するとセレスが口を開く前に

 部屋のドアが開いて

 少年の話の原因の女性が

 巨大な何かを背負いながら入ってきた


 「ソフィー様!!

 帰ってきたんですね!」


  部屋に入ってきたソフィーを見ると

 少年は驚いて立ち上がってソフィーに駆け寄る


 「もう、僕達がどれだけ

 心配したと思ってるんですか!!

 一人で《四天王》の屋敷に行くなんて

 自殺行為ですよ!!」


 「あぁ、レオもいたのね、

 それよりセレス

 あなたに調べてほしい事があるんだけど」


 「ちょっとソフィー様!!

 僕の話を聞いて下さい!」


  ソフィーは騒いでいるレオを無視して

 セレスに背負っていた何かを

 部屋のベットに寝かせる



  どうやら気絶している男のようだ



 「誰?」



  セレスは男を警戒しつつも

 気絶している男の頬を叩いたり

 腕を揉んだりしながらソフィーに聞く


 

 「私の奇襲の邪魔をして

 しかも私の【フィルグラ】を壊した奴よ」



 「えぇ!!

 【フィルグラ】を!?」



  ソフィーの言葉にレオが驚き

 ソフィーの手首を見る




  そこには重力を支配する魔法の腕輪

 【フィルグラ】があるはずだが・・・




 「な、無い・・・」



  当然ソフィーの手首には

 何もはめられていなかった



  セレスにもレオの声が聞こえたのか

 さっきまで興味深そうに

 男に触っていた手を引っ込める



 「その男にはなぜか

 魔法が効かなかったのよ

 その理由をセレスに調べてもらおうと思って

 《四天王》の屋敷から連れ去ってきたの」



 「この外見からすると

 《オーク》か《ドワーフ》でしょうか?

 でも、魔法の効かない魔族なんて

 聞いたことありません・・・

 もしそんな魔族がいるなら

 今後、かなりの脅威ですね・・・」


  ベットに横たわっている

 男の顔を覗き込みながらレオが頭を抱える


  するとしばらく男を眺めていたセレスが

 顔を上げてつぶやく

 



 「この男は人間」




 「「えっ!!」」



  セレスの言葉にソフィーとレオが驚く



 「嘘でしょ!?

 だって魔法が効かなかったのよ!!」


 「そうですよ!!

 こんな外見で人間な訳ないです!!」


 「レオ、それはこの男に失礼」


  二人がわめいていると部屋のドアが開いて

 一人の騎士が入ってくる


 「レオ様、《騎士王》ギルバート・アッシュ様が

 ご到着なさいました」


 「ッッ!!

 わ、分かった!!

 セレスさん、その人の正体を

 暴いておいてください

 僕はギルバート様のお出迎えをしてきます」


 「分かった、任せて」


  そう言うとレオは勢いよく部屋から出て行き

 部屋ではセレスが男に

 次々と電極を貼りつけていき解析を始めた

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