騎士と駐屯地
「くそっ、嫌な匂いだな・・・」
ソフィーの単独行動を止めるために
城を飛び出した青年は
人間に占領された魔界の大陸に来ていた
魔界の大陸にある《転移門》を抜けた先は
背の高い木々が生い茂っていて
遠くを見渡すことができない
青年が木々の間をしばらく進むと
大きな広場が見えてきた
広場には木々が伐採されたようなあとがあり
周囲に木造の簡易な建物がいくつか建っている
青年が広場にやってくると
広場から一人の少年が走り寄ってきた
背が低く顔も童顔だが
着ている薄手の白い半袖から見える
余分な肉のない筋肉質な腕からは
か弱い印象は感じられない
「長旅ご苦労様です!
《騎士王》ギルバート・アッシュ様!
僕はこの駐屯地の指揮をとらせていただいている
《第四騎士団》所属のレオ・ハートです!
本来ならソフィー様をお止めするのは
我々の役目にも関わらず
お止めすることができずに
申し訳ありませんでした!!」
「そんな前置きはどうでもいい
ソフィーはどこだ?」
ギルバートは目の前で
長々と謝罪の言葉を並べながら
頭を下げて謝っている
レオを無視して広場の建物を見渡す
「あっ、こちらです」
そう言って少年は言葉を詰まらせると
ギルバートを連れてどこかに向かって歩き始めた
「ソフィーの奇襲の結果は?」
「はい、ソフィー様は
ファム・スルトの屋敷に奇襲をかけ
魔族二名の無力化に成功しましたが
惜しくもファム・スルトの討伐は
失敗しました」
「そうか、ソフィーが負けたか・・・
これは魔族共の評価を改める必要があるな」
「あの・・・そのことなのですが」
ギルバートが眉間にしわを寄せていると
少年がおそるおそる話しかけてくる
「なんだ?」
「実は、ソフィー様を無力化したのは
人間でして・・・」
「・・・はぁ!?」
少年の言葉にギルバートは驚き
青年に詰め寄る
「ソフィーがただの人間にやられただと!?」
「お、落ち着いて下さい!」
「・・・ありえん」
ギルバートが唸っていると
レオが立ち止まる
どうやらソフィーがいるという
建物に到着したらしい
「その件については本人から
聞かれてはいかがでしょうか?」
「それもそうだな
案内ご苦労、戻っていいぞ」
「はい!失礼します!」
そう言うとギルバートを送り届けたレオは
来た道を戻っていった
案内された建物には
他の建物と違い大勢の騎士が出入りしており
空いた窓から消毒液のような匂いがする
どうやらここは駐屯地の病院のようだ
ギルバートはレオに言われた通り
今回の単独行動について
ソフィーに問いただすために
病院に入っていった




