騎士の襲撃
「うぅぅ~まだほっぺが痛いよ・・・」
ファムのアイアンクローから解放された
メアは自分の頬を擦りながらファムを睨む
「だから、さっきから
ごめんって言ってるでしょ」
俺とシェリーが仲直りした後
俺達は朝食を食べていた
まだシェリーの料理は色々と危ないので
一応朝食は俺が作った
「さっきの対決のせいで
調理場がめちゃくちゃになったから
後で片づけないとな・・・」
「すいません
気合いを入れすぎてしまって・・・」
俺のつぶやきにシェリーが
申し訳なさそうに頭を下げてくる
「一体、調理場で何があったの・・・」
「本当よ・・・」
京子が俺とシェリーに向かって
疑問の目を向けてファムが
やれやれとため息をはくと同時に
突然
ドゴォォォッッーーーーー
ファムの後ろの壁が吹き飛んだ
「きゃあっ!!」
ファムは壁の爆風に巻き込まれて
俺達の方へ吹き飛んでくる
「うぉぉっっ!!」
飛んできたファムを
とっさにキャッチして
俺は大きな穴の開いた壁を見る
「ふぅ、ようやく見つけたわよ」
そこには瓦礫を乗り越えて
鎧姿の女性が部屋に入ってきていた
その女性は自身の身長より大きな鎌を
軽々とかついで言う
「四天王の《炎魔》ファム・スルト!」
女性は体を分厚い鎧で覆い
鎌を持つ手に紫色の宝石がついた
大きな腕輪をはめている
鎧のせいで分かりづらいがスタイルがよく
女性らしい体つきをしていた
癖のある黒髪を無理矢理ポニーテールにして
凛々しい顔を怒りに染めている
年齢は二十代前半ぐらいだろうか?
「さぁ、姫様のために殺されなさい!」
女性は再び鎌を振り上げたところで
不意に広間の隅にいる京子に気づく
「えぇっ!なんでこんなところに人間が!?」
すると女性が動揺した隙に
メアが突っ込んでいき
そのままの勢いで跳び蹴りを放つ
「ぐぅっっ!!」
女性は慌てて鎌で防御するが
丸太を地面に叩きつけたような
重い音を響かせながら
メアの蹴りの威力に押されて
再び壁に穴を開けて外へ吹き飛んでいく
「シェリー!!
早くみんなを連れて逃げて!!」
「私も残って戦います!!」
「ダメ!!」
メアの強い拒絶にシェリーは驚く
「あの騎士の近づいてくる
気配が全く感じられなかった・・・
多分、相当強い
シェリーじゃ相手にならないよ」
真剣な顔でメアはシェリーの目を見る
「ここは私がなんとかするから・・・
早くみんなで逃げて」
「じゃあメアはどうするんですか!?」
「大丈夫、みんなが逃げ終わったら
隙を見て私も逃げるから」
メアはそうやって気楽に返すが
シェリーは心配そうにメアを見ている
「もう、いきなり何するのよ」
すると女性が壁の穴から
平然とした顔で戻ってくる
吹き飛ぶほどの威力の蹴りをくらったのに
鎧に少し汚れがついただけで
ほとんどダメージがないように見える
「早く逃げて!!」
メアの叫びでソフィーが
悔しそうな顔をしながら逃げ出す
俺や京子も慌ててソフィーの後に続く
「逃がさないわよ」
「悪いけどあなたの相手は私よ」
そう言ってファム達を
追おうとする騎士の前にメアが立ち塞がる
「・・・ごめんなさい
したっぱに興味はないの」
女性の言葉と同時に
前に立ち塞がったメアの体を
紫色の光が包みメアの体がフワリと浮き上がる
「えっ!」
メアが驚くがそんな反応も関係なく
光に包まれた体はどんどん上昇していき
床と天井の間ぐらいの高さでピタリと止まる
「何これ!?」
メアは空中でもがくが
もはや完全に身動きが取れなくなっている
「魔族は一人残らず
この私、《第三騎士団・団長》
ソフィー・レグニスが討伐するわ」
そう言うとソフィーは
逃げる俺達の背中へ巨大な鎌を構えた
「覚悟しなさい魔族共!!」




