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四天王のスカウト


 

  ピチョン・・・   ピチョン・・・



  風呂場の蛇口からしたたる水滴が

 床にはねて小さな音を立てる



 「はぁ・・・」



  住み慣れたはずの自宅の風呂場なのに

 なぜか今は全然落ち着けない



  俺はもう何度目か分からないため息をはく




 

 「なぁ、何で俺はこんなことしてるんだ?」





 「うるさいわね・・・

  いいからさっさと手を動かしなさい!!」



 「・・・わかったよ」

 


  俺の質問に

 目の前のシミ一つない真っ白な小さい背中から

 ツンツンした態度で返事があった



  そして俺の手にはモコモコの泡がついたタオル



  そのタオルで目の前の小さな背中を

 傷つけないように優しく擦る



   ゴシゴシ・・・  ゴシゴシ・・・


         ゴシゴシ・・・

 


 「こんなもんでいいだろ」

 

  さっきまで泥で汚れていたとは思えないほど

 綺麗になった背中を見て俺は達成感を感じる

 

 「後は自分でできるよな?」


  そう言うと

 こちらに背を向けた少女は自信満々に


 「もちろんよ!」


  と、平たい胸を張って答える



  少女が振り向いた拍子に

 色々と見えてはまずいものーーー


 ーーーいわゆる先端のピンク色の(自粛)ーーー


 ーーーが見えた気がするが

 俺はすぐに目線を反らして立ち上がる

 



 「じゃあ俺は晩飯の用意があるから・・・

  着替えは適当に用意するから勝手に着てくれ」




  そう目の前の少女に告げると

 俺はまくり上げていたズボンのすそを元に戻して

 夕食を作るためにキッチンへ向かう






 「今日はトンカツだな」



  冷蔵庫の中身を確認して献立を決め

 料理を始めようとすると


 「ふぅ、今日のディナーは何?」


  風呂場から

 俺のTシャツを着た少女がやってきた


  着ていた服が汚れていたから

 俺のTシャツを置いておいたが

 サイズが大きすぎて片方の肩が出ている

 

 「トンカツだ」


 「トンカツ?」


 「もしかして、知らないのか?」


  俺の質問に

 少女はコクンとうなずく


 「トンカツを知らない奴なんて

  今どきいるんだな・・・

  まぁ、とりあえずうまいぞ」


 「そう、おいしいならいいわ」


  そういうと椅子にちょこんと座り

 料理ができ上がるのを少女は大人しく待っている




 ーーーーーーーーー




 「できたぞ」


 「・・・これがトンカツ」


  そう言ってテーブルに

 出来たてのトンカツをおいてやると

 少女は興味深そうに匂いを嗅いでいる


 「じゃあ、いただきます」


 「どうぞ」


 「・・・おいしい!!

  何なのこのお肉は!?

  こんなに柔らかいお肉を食べたのは

  生まれて始めてよ!!」


  少女はトンカツを一口食べると目を見開き

 自分で食べたトンカツを凝視する


  あまり人に褒められたりしない俺は

 その少女の笑顔に苦笑で返す


 「トンカツでそんなに褒められるのは

  初めてだな・・・」


  俺が苦笑すると

 少女は頭を横にぶんぶんと振りながら言う


 「私の舌を唸らせるなんてかなりの腕よ!!

  誇ってもいいわよ!!」


 「口に合ったようでなによりだ」


  目をキラキラさせて

 トンカツを頬張っている少女を横目に

 俺は自分の分のトンカツをもって

 少女の正面に座り今まで気になっていたことを

 目の前の少女に聞いた





 「今更だが、何であんな所にいたんだ?

  それと、名前を教えてくれないか?」





  それを聞いて少女は少しの間キョトンとすると

 トンカツを食べる手を止めコホンと咳払いした後

 座っていたイスから立ち上がり

 高らかに名乗りだした




 「私は、魔王様の側近である四天王の一人

  《炎魔》ファム・スルトよ!!」




 「・・・???」



  少女の突拍子のない自己紹介に

 俺は思わず固まってしまった




  魔王?   四天王?

     《炎魔》?




 「そして今からあなたには

  私の屋敷に来てもらうわ!」


 「・・・え?」


 「というわけで

  このトンカツを食べ終えたら早速いくわよ

  できるだけ早く準備しておいてね」


  そういうと少女は

 有無を言わさずに話を進めた後

 再び座ってトンカツを食べ始めてしまった



  どうしてこんなことになったんだ?



  俺は今日一日あったこと思い出そうと

 黙って自分の分のトンカツを食べ始めた


  ・・・うん、うまい


初めての投稿なのですが多くの人に

読んでいただけるとうれしいです!!


よければ

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まだ新参者なので

アドバイスやコメントをしていただけると

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