7月1日 朝 教室
日本初上陸!世界で大人気のテーマパークに特別先行ご招待!!
教室に入るなり直樹が見せてきた手紙にはデカデカとそう書いてあった。
「な!?スゲーだろ!!??やっぱり俺ってば日頃の行いが良いからな〜」
朝っぱらから元気な奴だ。
「あぁ、良かったな」
直樹をかわし席につく。
「おいおいたっくん、冷たいじゃないの〜」
「誰がたっくんだ…」
「そんな事より、行こうぜ〜。拓海だって生徒会の仕事だけで貴重な夏休みを潰したくないだろ〜?」
「言っておくが俺は好きで生徒会の仕事をやっているし、遊園地みたいな人の多いところは苦手だ」
「へへーん、残念だったな!その手は通用しないぜ!なぜならこの先行招待は倍率1万倍とも言われてて、当選者は10組も居ないって噂だぜ!」
「そんな貴重な招待券ならオークションにでも出せば高く売れるんじゃないのか。その方が夏休みも満喫できると思うぞ」
「すーぐそういうロマンのない事を言う!こういうのはお金では買えない貴重な経験なんだよ!特に高二の夏だぜ?今遊ばないでいつ遊ぶって言うんだよ!!それに、この招待券は当選者を含む4人しか有効じゃない上に、金銭のやり取りが発覚したらその時点で無効になっちまうらしいからな」
「ふーんそういうものなのか」
「アンタたちまた朝から騒いでるの?」
俺の事を騒ぎの一員扱いするとは何事だ。
「騒いでるのは直樹一人で俺は何もしていない。寧ろ迷惑してるくらいだ」
「迷惑とはひどいぞ、たっくん!」
「だから誰がたっくんだ!」
「はいはい、朝から元気なようで」
「違っ、俺は!」
「いーからいーから。で、なんの騒ぎよ」
千秋は俺の話を遮るように直樹に聞いた。
「じゃじゃーん!これ見てくれよ!」
「なになに、大人気テーマパークにご招待…ってこれセブンスワールドのこと!?直樹、アンタ当たったの!!??」
「そうなんだよー、俺ってば日頃の行いが良いかr」
「いいなー!!!!私も連れてってよ!応募したんだけどハズレちゃったんだよねー!ね?良いでしょ??」
「おう!いいぜ!男だけってのも味気ないしな!」
「やったー!で、アンタらの他には誰が行くの?」
「俺は行くとは」
「はいはい、今の所拓海と俺と千秋ちゃんの3人だけだな」
「じゃああと一人行けるわよね。ねーえ、真城ー!」
教室の前で本を読んでいた真城がこちらを振り向く。
「ちょっとこっち来なさいよー」
「千秋ちゃんどうしたの…?」
真城は大声で呼ばれたことが恥ずかしいのか、こちらに来ると俯きながら千秋に尋ねた。
「真城もセブンスワールド行くでしょ!?直樹が招待券当たったのよ!」
「直樹くんが…?で、でも悪いよ…すっごく倍率が高いって聞いたよ…?私なんかが行くなんて…」
「俺は全然ウェルカムだぜ!真城ちゃん!」
直樹はウインクをしながら親指を立てた。
「で、でも…」
「ほーら、直樹もこう言ってるんだし!行こ!行こ!!けってーい!!」
相変わらず強引な奴だ。
「拓海君も…行くの…?」
「いや、俺は」
「拓海も行くわよねー!」
「いや、だから」
「行!く!わ!よ!ね!」
これは逆らわない方が良さそうだ…
「あ、あぁ…」
渋々返事をした。
「よーし決定ー!この4人でセブンスワールドに行くわよー!」
「あのー、千秋さん…?一応俺が当たったんだけど…」
いつの間にか千秋が当たったばりの勢いに直樹が少し悲しげな表情をしている。
「細かいこと気にしなーい」
兎にも角にもこうして半ば強制的に俺の夏の予定が一つ決まったのだった。