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月野 満《げつや みちる》の不思議体験記

作者: パラキス

「こんにちは、月野 満(げつや みちる)です。

歳は17歳のO型で現在高校2年生です。クラブ活動はしてません。

ミチルなんて名前してますが僕は男ですよ。間違わないで下さいね。

今日は、僕が体験したとっても不思議なことをお話しますね。」



いつもと同じ午後3時半の帰り道。

家までの道のりは20分、いつもと変わらず1人で歩いていた。

そのとき、突然の雨に遭って急いで近くの喫茶店の軒下(のきした)に飛び込んだ。

「雨振るなんて天気予報で言ってなかったのに〜」軒下から空を見ると黒い雲で覆われていた。

「雨、止みそうにないな〜、どうしよう。」

しばらく考えていたが、いつまでも軒下で雨宿りしてるわけにも行かないので

その喫茶店に入ることにした。

ドアを押すとカランカランと言う音がした。

お店に入ると「いらっしゃいませ!」という元気の良い声と、

ウェイトレスさんらしき女の人が目に入った。

カウンターではマスターらしき渋めのおじさんがコーヒーを入れている。

それ以外は木で出来たテーブルとイスだけしか見当たらなかった。

僕が適当にイスに座ると、女の人がトトトっとよってきて、

「ご注文はお決まりでしょうか?」と聞いてきた。

テーブルの上に置いてある小さなメニューに一通り目を通してから

ホットミルクティーとスコーンを頼んだ。

ウェイトレス姿だったので気がつかなかったが、僕と同い年くらいの女の子だった。

結構可愛いかったし、しかもちょっとタイプだ。

なんてことを考えていたらホットミルクティーとスコーンが運ばれてきた。

「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか?」

お店などでよく聞く台詞だな〜と思いながら「はい」と答えて窓の外を見た。

顔が赤くなっているだろうからそれを悟られないためだ。

ウェイトレス姿の女の子は「それではごゆっくり」といって戻っていった。

そしてその直後、ビタ−ンという音がした。

何かと思って音のするほうを見ると、何もないところでウェイトレス姿の女の子が転んでいた。

「いったーい、またやっちゃった。」

なんていいながら、立ち上がるのと同時に鼻の頭をさすっている。

僕はつい見入ってしまった。ストライクゾーン一直線だった。続に言う一目惚れだ。

ウェイトレス姿の女の子は僕の視線に気づいたのか顔を真赤にして俯いている。

何かお互いの間になんとも言い難い雰囲気の空気が流れていたが沈黙を破ったのは僕だった。

「あの、大丈夫だった?」

僕がそう聞くとウェイトレス姿の女の子は元気に返事をしてくれた。

「はい!大丈夫です。なんかすみません、ごゆっくりと言っておきながらあたしがこんなんじゃゆっくり出来ませんよね。」

そういうと少し顔を赤くする。相当恥かしかったのだろう。

「いや、そんなことはないけど、打ち所悪いと大変だからさ。大丈夫ならよかった。」

微笑みながらそう言った。

「おやさしいんですね。」

そういわれて微笑まれる。

その可愛さに思わず顔が赤くなるのがわかった。この笑顔は反則だよ〜。

そんなことを思っているとまたもや目が合う、しばらくお互いに目線を交わしたままだったけど、ふとした表しにお互いに笑い合ってから話し込んだ。

お客さんも僕だけだったから。

「では、英田が黒板にPEACE(ピース)って書こうとしたらしいんだけどさ、スペル間違っててPEACE(ピース)PACE(ペース)になっててクラス中大爆笑だったよ。」

「あはは、それだとうまく訳せなくなっちゃいますね。」

1時間くらい話していただろうか、ふと窓の外を見ると雨は止んでいた。

僕は立ち上がって、お礼をいった。

「ありがとう、そろそろ行くよ雨も上がった見たいだし。お勘定はいくら?」

僕が聞くと、少し寂しそうな顔になった。

「もう行っちゃうんですね、もっとお話ししたかったです。

 あ、お勘定ですね、えっと、380円になります。」

そういわれて、僕も少ししゅんとしてしまった。

ポケットからお財布を取り出して金を渡す。

席を離れようとした時に、スコーンがまだ残っている事に気づいた。

「あの、スコーン包んでもらってもいいですか?これ、美味しかったんで」

僕がそういうと、ウェイトレス姿の女の子は笑顔で

「わかりました、少々お待ちください」

と言ってくれた。

包んでもらったスコーンをカバンの中にしまい店をでた。

出るときに、「またのご利用をお待ちしております!」という声を背にして。

店を出た後は振り替えらず家に帰った。家に着いた時間は3時50分だった。

後はいつも通り友達と遊んで1日が終った。

寝る前にあのお店のことを思い出して、明日も寄ろうと決めて眠りについた。


―翌日の放課後―


「フルムン、今日帰りにゲーセン行こうぜ」

声をかけて来たのは霧織 平久(きりおり ひらひさ)あざなはむしょく。

彼は僕の中学校から親友だ。

「キリ、そのフルムンってやめてくれよ。せめてフルにしてくれ。」

なぜフルムンなんて呼ばれているかと言うと


〜回想 始〜


キリ「月野 満か、最初は(つきの)かと思ったよ、名前。」

フル「はは、よく間違われるよ、女の子とかにも・・・」

キリ「ふむ、月の満か・・・あれだ、満月だな。やっぱ満月と言えば[フルムーンを探して]しかない!と言うことでお前はこれからフルムンだ!」


〜回想 終〜


という理由だ。

てか、この学校に僕のことをまともな名前で呼んでくれる人なんかいない。

大体はキリと同じようにフルムン、もしくはフルなんて呼ぶ。

女子たちはつきのなんて呼ぶ、先生もつきのって呼んでくる。

なんか自分で説明してて悲しくなってきた・・・

「ゲーセンか、ごめん今日ちょっと寄りたいところあるからさ。」

そう言ってキリの誘いを断った。

「そうか、そりゃ残念だ。」

口ではそう言ってるけど残念そうに見えないのは僕だけだろうか?

なんて思っていると

「なぁ、フルムンってオカルトとか不思議系の話好きだったよな?」

キリが突然聞いてきた。

「うん、どうしたのそんな改まって。」

思わず聞き返してしまう。

「いやね、最近聞いた怪談話なんだけど、昨日みたいな通り雨の時にだけ現れるお店があるらしいんだよね、お前知ってたか?」

「いや、知らなかった。教えてくれてありがと、それじゃあまた明日」

「おう、また明日な」

下駄箱に向かう途中で思った、今の会話おかしい。

昨日は土砂降りだったじゃないか、なのになんでキリは通り雨と言ったんだろう?

そんな疑問を抱きながら帰路につく。

その答えは昨日の喫茶店のある場所についたときにわかった。

喫茶店があった場所はただの空き地だった。

「なんで・・・、昨日は確かにここにあったはずなのに。」

そして、僕はさっきキリに教えてもらった話を思い出した。

[通り雨の日にだけ現れるお店がある。]

せっかくまた話をしようと思っていたのに合える機会が次にいつ来るかわからない事と彼女が真っ当な人間じゃなかったことにショックを受けた。

僕は肩を落とし、家に帰った。

自室に戻るとかばんを投げ捨て、ベットに横になった。

今日はもう何もやる気が起きない。

目を閉じて昨日のことを思い出していた、そのとき昨日包んでもらったスコーンがあることに気づいた。

昨日食べようと思っていたが夕食の後すぐに寝てしまったのだ。

スコーンの置いてある机まで向かい、手に取り包みを開ける。

すると1枚の折りたたまれた紙が包みの中から落ちた。

何だろうと思い折りたたまれた紙を開いた。

内容は一言だった。

「通り雨の日にまた」

それだけだ、だけれど僕には十分だった。

相手が何だろうが関係ない、通り雨の時に現れるのならば待てばいいのだ、そのときまで。

そう思ったら落ち込んでた気持ちも晴れたので、僕は携帯電話でキリに電話をかけた。

「もしもし、キリまだゲーセンにいるの?・・・・・うん、わかった。僕も行くからまっててくれよ。じゃ」

そう言って電話を切る。

私服に着替えて家をでる。「遊びに行ってきま〜す」

玄関を出たところで空を見上げて、早く、通り雨が来ないかな〜なんて思う。

そして、キリや友達が待ってるゲーセンまで自転車を飛ばした。いつもと同じように。

「最後まで聞いてくれてありがとう、上手くいえなかった部分もあったような、無かったような・・・。

まあ、不思議体験は他にも色々あるけど、今日は僕の時間が無いからこの辺で、機会があったらまた合いましょう。

それでは、通り雨の日にまた♪」



この小説はフィクションです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 雨の日だけの淡い恋。 儚く去り行く雨の如く来ては去る恋。 ロマン溢れて怪談にするには勿体ないですね。 ちなみに私も行き着けの喫茶店がありましてそこでの紅茶が400円なんですよ。 それ…
[一言] こういったストーリーも面白いと思います。少し会話の部分を前後空けた方が読みやすくなると思います。またこういう話しがあるなら、読みたいと思います。
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