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新生物とAIと家族

作者: euReka

 コップの中からそいつは、ハローと言った。

 このコップで水を飲みたいから出ていってくれと私が言うと、そいつはここが気に入ったから嫌だと言ってコップの底で丸くなった。

 体は小さいが人間のような顔や体をしており、言葉も喋るからとても厄介だ。

 AI検索で調べると、そいつは新生物の一種で、数日で居なくなる場合もあれば何十年も居座りつづける場合もあるという。

 新生物というと数十年前に街を破壊して大問題になった巨大生物のイメージがあったが、今はサイズの小さくなった新生物が日常生活によく現れるようだ。

「最近見られる新生物は、手のひらサイズのものから、人間の大きさをしたものまであり、現在では新生物をペットとして飼う人も増えています。しかし、ペットなど欲しくない人にとっては厄介な存在でしかなく、新生物を駆除する動きもあります」


 困ったなあと思って新生物をなんとか平和的に追い出す方法をいろいろ探していると、数日後、その新生物は人間の女性のような姿と大きさになって、私のベッドへもぐりこんできた。

 私は性的な感情を刺激されたが、同時に嫌悪感もあって、結局そのまま朝まで眠れなかった。


「今の時代、新生物が性交の相手って人が多いのに、なんで拒否してるんですか?」

 会社の後輩に新生物の話をすると、彼の目の色が急に変わって説教された。

「普通なら、ブサイクな僕に恋人なんて無理です! でも、新生物の彼女は優しく僕を受け入れてくれるんですよ!」


 新生物はその人の性別や性的な傾向を把握し、その人の好みに合わせて姿を変えるらしい。

 ある国では日常生活に侵入する新生物を一斉に駆除しようとしたが、殺してしまうと残った新生物が集まって巨大化し、その街を破壊するようになったので駆除を断念した。

 さらに新生物と人間は交配が可能なので、その子どもたちが世界中で沢山生まれるようになった。

 子どもたちは身体能力や知能が人間の何倍も優れているため、近い将来、彼らが世界を支配するだろうと多くの識者が予測している……。


 三年後、新生物の彼女はまだ私のベッドの中にいるが、性交はない。

 でも私は彼女と法的に結婚し、人間そっくりなAIアンドロイドの子どもを購入した。

 現在はAIアンドロイドも沢山いて、新生物と同じようにいろいろ問題になっている。

 世間からは変な目で見られるが、家族なんて一生持てないと思っていた自分にしては、まあ上出来だ。

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