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【MOVIE1】0721と$Xの差

【MOVIE1】


平凡じゃない人生を過ごしたい。そう思ったことはないだろうか? 

大豪邸を持つお嬢様に拾われたい。

死神のノートを拾って世界征服してやりたい。

美少女に連れられて宇宙人、未来人その他云々と青春を謳歌したい。

そんな夢を見ても得られるのは一時の興奮だけで、夢が覚めた後には今までの興奮は無駄で現実は何も動いてはくれないんだという虚しさに気づく。

そんなものは“オナニー”と同レベルの醜い行為だ。

かといって、夢が覚めて現実に戻れば冷たい非情な風に晒され、辛くて苦しい思いをする羽目にあう。

そして、心が病めばまた夢を見たくなり、人は快楽に走る。

人はそんなループの中で生き永らえているのだ。

そのことに気がついた時、俺は同時にループを抜け出す方法にも気がついた。

聞きたいか? 聞きたいよな? 聞きたいに決まってるよな?

…………聞いてください。


このゴミみたいなループを抜け出す方法は大きく分けて2つある。

1つ目は夢を無駄な行為だと決めつけ、一切夢を見ないことだ。

そうすれば無駄な時間を過ごすことは無くなるし、夢と現実のギャップに苦しむことも無くなる。言うならばこれは“オナ禁”と言うやつだ。

だけど、それってくっそつまらなくないか?

そう思った諸君、いるだろう。

そんな諸君の為に二つ目の方法を教えよう。

2つ目の方法……それは、現実で夢と同等、もしくはそれ以上の行為をすることだ。

言うならばこれは“セックス”だ。

この物語は“オナニー”から“セックス”への昇華を遂げた俺の1コマである。




俺の名は舞浜結人(まいはまゆいと)

どこにでも居るごく平凡な高校生だ…………った。

数ヶ月前までは、ザ・平凡ライフを過ごしていたんだけど、ある日俺の人生は大きく変わってしまった。

何で、変わっちまったかというと……。


……俺の両親が逮捕された。

罪は横領罪。

ビッドコイン?とかいうよく分からんオカルトにハマりやがって、終いには会社の金にまで手を出して監獄行きになった。

そのせいで、俺と妹の真衣は置いてきぼり。

片っ端から親族に引き取ってもらえるように頼みこんだけど、『犯罪者の子供』扱いされて誰も引き取ってくれなかった。

ほんと、無責任な奴らだ。

だから、俺は、俺だけは、責任ある親代わりとなって真衣を養うと決めた。

毎週楽しみだったジャンプやマガジンを買うのをやめたし、日課だったスマホゲーへの重課金もやめた。

……やめるしかなかった。

それから、名字を改名して、未成年でも住める賃貸を探して、学校も転校して、住民票が無くても出来るバイトを探して、バイト andバイト。

何かもう、すげえ大変だった。

          

そんな俺は今日、高校二年へと進級する。

俺の通う高校、本気卍まじまんじ高校の門を潜り、俺は始業式を迎えた。

始業式が終わると、クラス発表が張り出された。

新しい教室に着くと、担任が自己紹介を命じた。

そんなこんなで俺の番が回ってくる。

「舞浜結人です。家族はたった一人、妹だけです。今は妹を養うためにバイト漬けの毎日です。よろしくお願いします。」

他人に紹介できる自己など、今の俺にはこれくらいしかない。ていうか、いらない。

真衣を養うためには全てを捨てなきゃいけなかった。


「キッモ。悲劇のヒロイン気取り?」

「いやいや、頑張ってる俺カッコイイアピールで点数稼ぎしてんだろww」


そんな声が何処からか聞こえてきた。

あぁ!_? なんなんだ、偉そうにお前らは。

残念だが、都内屈指のヤンキー校の民度はこの程度だ。


――ちょんちょん

突然、真右から指ちょんされた。


「つかつうか、何だよ結人、今の自己紹介。どこの陰キャやねん」

「陰キャか陽キャなんてどうして気にして生きなきゃいけないねん。」


こいつは柄通貨つかつうか。去年から同じクラスで、学校生活で唯一話すやつ。友達と呼べるかは怪しい。やば、俺、友達おらんやん。

明るめの茶髪、メンズノンノを開いたら居そうな髪型、「つかつ~か~」が口癖なのか一人称なのかよく分からないやつ。


「陽キャか陰キャで学校生活はガラリとか変わるべ、陽キャで居ないと損よ損。」


「とか言う割にお前、他の陽キャ()の奴らとはあんましツルんで無いよな。」


「げ、げぇっ、べ、別にそ、そんなことねえし」


『げぇっ』って、オイ。俺しか話す相手居ねえんじゃねえの?とツッコミたくなったが、寛容な精神で許してやった。


「ふーん」


――――――そんな自己紹介も終盤に差しかかった頃、やつは来た。


「ここで皆さんに新しいお友達を紹介しまーす! 間切こもも(まきりこもも)さん、院寺藍那いんてるあいなさんです」


<ジャララ>

ドアが空いて、誰か入ってくる。


「間切こももです、よろしくお願いします!」


作者PS.感想求。

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