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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
10章

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2

 自慢の長い髪はショートカットに。

 

 いつもおしゃれで着ていた黒や紺の光沢のあるワンピースではなく、薄い紫色の藤の花模様のパジャマ。

 化粧っ気もなくなって、10歳ぐらい老け込んだように見えた。


「お、おかあ、さん?!」

 

 ゆいちゃんの知っているお母さんじゃない!


 これ別人よ! 呉松周子の皮を被った!


 お母さんは、髪はもちろん手や足にもネイルしていて、頭から足までおしゃれだったのに。


 今、目の前にいるのは、そこら辺にいるおばちゃんと一緒。


 化粧っ気もなくなって、老け込んでいるし、髪もボサボサ。


 あんた誰って言いたくなる。


「結花連れてきた。あんまりうるさいから、1回”現実”を見てもらおうと」


 これ、衣類なと良輔は紙袋を見せる。

 中には下着や冬用のパジャマや靴下、差し入れのお菓子が入っている。


「えーもう少しおしゃれなのないの?」


 周子は袋の中をみるなり、開口一番お礼ではなく、パジャマへの文句だった。

 冬用のパジャマは、シンプルに薄いピンク色で脱ぎ着しやすいボタンのタイプだ。


「そうよ! りょうにい、これダサいじゃん! お母さんがおしゃれ好きなの忘れてない?」


「自分の立場忘れてないか? お前が口だし出来るレベルじゃないって。そんな言うならお前がお金だせ」


 良輔は結花に煽るように矢継ぎ早に「その財源は? また転売するのか? 俺や紫乃や父さんのお金パクる気か?」と問い詰める。


「だ、だって、お母さんの服が……それにパクったんじゃなくて、必要だっただけ!」


 働かずにお金貰う方法はそれぐらいしかない。


 だって働いたらゆいちゃんいじめられちゃう。


 それか、病気の人演じて、生活保護せしめちゃう?


 良輔は結花の言動に大きなため息をついて、聞いて呆れた。


「そうなのよー。ゆいちゃん、お母さん、いつもパジャマなのよー。りょうくんが買ってくるとセンスがないのよねぇ」


 のんびりした口調で追撃する周子に良輔は、思わず頭を掻いた。


「何言ってるんだ。お母さんの左手がうまく利きにくなったから、このタイプを買ってる。リハビリでなんとかしてるけど」


 周子は1年前に脳梗塞で左手を麻痺して、一時期入院していた。

 リハビリや治療のおかげでなんとか回復したが、家での生活は厳しいということから、このサルースにやってきた。

 でも理由はそれだけではなかった。


 周子が体が不自由になったことから、明博や良輔をこき使うようになった。

 長年いたお手伝いさん達も、数年前の結花の離婚の件で良輔と明博が辞めさせたからいない。

 良輔はこのままだと自分の妻である紫乃が母親のターゲットになるかもしれないことから、一時的に別居状態になっている。


 息子の大翔ひろとは高校時代から引き続き遠方の大学に通っているため、ノータッチだ。


 そもそも大翔は周子に対して苦手意識がある。ついでに叔母である結花もだ。


 数回しか会ってないが、小学校時代に結花にベタベタ触られて以来、苦手になっている。

 周子も将来玉の輿狙えだ、結花のご機嫌伺いするように強いたり、ちょっかいかけてきても目をつぶるようになど、あさっての方向になるので、苦手意識が強い。


 父である良輔と母である紫乃への態度と結花と差別化しているような感じに見え、薄気味悪さを持っていた。


 お年玉の配分も結花と大翔と陽鞠とで全然違う。

 結花は5万貰って、良輔はなし。大翔と陽鞠は毎年2万円ずつだった。

 大翔は成人している叔母がなぜ貰って、自分の父は貰ってないのか不思議でならなかった。


 そういうのも分かっているので、良輔は極力実家に帰る時は、結花と周子がいないときを狙っていた。


 周子の性格の悪さに振り回された家族がうんざりして、良輔と明博が必死に説得して入らせた。


 正直、明博も周子の自己中ぶりに長年うんざりしていたが、体が自由に動かせないことが余計拍車をかけて、彼のメンタルに影響でていた。

 最初は明博は最後まで看取る気満々だったが、遠回しの嫌味やお決まりの婿養子云々が出てくるので、精神的に疲弊していた。

 つまり周子の陰湿さがますますパワーアップしていたのだ。


 明博と物理的に距離を置くことで、お互いのメンタルの平穏を保つことを優先した。

 細々の手続きは良輔と明博でやっている。

 明博は個人で面会に行かず、だいたい良輔と一緒の時が多い。

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