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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
10章

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1

結花の実家がある呉松家から、春の台のバスで約8分のとこに西南中央駅せいなんちゅうおうえきがある。

 

 周りはショッピングモールや駅ビルやホテルがある。少し離れるとそこは閑静な住宅街に入る。


 西南中央駅から徒歩分のとこにと建物が見えた――有料老人ホーム"サルース”。

 まるでマンションのような建物だ。


 結花はこんな場所あったっけと、兄の良輔りょうすけについていくように、エントランスに入っていく。

 エントランスを抜けると開放的なロビーが見えた。


 車椅子の男性2人、女性1人と普通の椅子に座っている男性1人が、机囲んで麻雀に夢中になっている人達。


 他のブースでは、囲碁や将棋を楽しむ人達、書道やカラオケを楽しむ人達、せっせと広告でゴミ箱を作る人達と、各々楽しんでいる様子だ。

 ロビーのあちこちに、利用者の書道や絵画や、折り紙やフェルト生地で作られた作品が展示されている。


 良輔は受付のロビーに面会に来た旨を伝えて、案内して貰った。


 ロビーすぐ近くのエレベーターに乗って5階までいく。

 エレベーターの中には、施設からのお知らせや敷地内にあるレストランの営業や、建物の案内図が掲示されている。


 5階につくと、結花は良輔の後を追うように急ぎ足でついていく。


「ここだ」


 電子化されている病室のネームプレートに、呉松周子くれまつちかこ様と表示されていた。

 他にいつ入ったかや担当医師・看護師やケアマネの名前なども一緒に載っていた。


「え、ちょ、ここって?」


 何一つ状況に気づいていない結花に、良輔は内心呆れていたが「老人ホームだけど」と短く返した。


 なんで、お母さんだけ老人ホームなの?


 お父さんは一緒じゃないの?


 お母さん寂しいじゃん! というかお父さんも意地悪じゃない?


「ねぇ、なんで、お母さんここにいるの? お父さんは、なんで家なの?」


 結花は良輔の肩を揺らして「どういうこと」と尋ねるが、何も答えない。


「ほら、さっさとはいるぞ」


「りょーにー! おしえてよ! どうせ、りょうにいが追い出したんでしょ! 教えないと、あんたの口うるさい嫁に直接聞くから!」

 

 キャンキャン喚きそうな声で、良輔は心底不愉快そうに顔をしかめる。


 アラフォーになっても、落ち着きのないしゃべり方が身内でいると眉をしかめたくなる。しかも妹という立場だから尚更。


 鼓膜を破く勢いだから余計嫌になるし、こいつとしゃべった後は、すぐ頭が痛くなる。


 まるで超音波いや、怪音波だ。


「あのな、少しはトーン落とせ。ほら、他の利用者が見てるぞ」


 他の利用者から冷たい視線が結花に向けられる。


「いい加減TPOを弁えろ。ほら、はいるぞ」


 良輔はドアをノックして「来たぞ」と告げた。


「どうぞ」と返ってきたので、結花は良輔と一緒に中に入った。


 ベッドの上に横たわる周子。


 その姿は結花が知っている姿と少し変わっていた。

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