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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
9章

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4

「ひ、ひどいよぉー、なんでー教えてくれないのぉー」


 結花は大声で泣き真似をするが、その姿はさらに良輔と明博を苛立たせた。


「お母さんの若かりし頃にそっくりだ。見てて虫唾むしずが走る」


 周子ちかこも結花同様かなりわがままだった。


 結花は大声でキャンキャンわめくように自己主張するが、周子はのんびりした口調で、相手をチクチク追いやるようなタイプだ。

 しかも遠回しに嫌味いう上に恩に着せるタイプで、昔やったことを引き合いにして、言うこと聞かなければ脅すスタイルだ。

 これで断りにくい状況や見えないように、周子が上であるかのように見せる。

 

 特に自分が不利になりそうなときにそのようなやり方をするので、周りはだんだん追い詰められていく。メンタルをやられた人も少なくない。

 外からは穏やかに見えて、仲良くなるが、深入りして、蓋を開ければ、陰湿な嫌がらせや男女トラブルに発展する。

 自分が悪くないと遠回しに言うので厄介だった。


 それも全て呉松家の権限で封じ込めた。


「まぁ、なんせね、お父さんの友人とやっちゃって結花が生まれたんだからね。陰湿なとこや性格の悪さは《《バッチリ遺伝しちゃってる》》から」


 良輔はわめく結花を一瞥した。

 結花はお母さんに会わせてとごねてばかり。


 さて、この馬鹿妹をどう”料理”しようか。


 どのみち田先家にお金を返済しなきゃいけないし、転売疑惑もある。


 人気声優のライブのチケットをいくつか購入して、フリマアプリのサイトに売っていた。


 それどころか、グッズやペンライトなど、全て田先家の子供達のものを無断で売った。正直言って盗みだ。


 妹のフリマアプリの取引の履歴をスクショしたのを、先方から見せて貰ったが、かなり高額で売られていた。特にチケットだ。

 通報はされているみたいだ。


 どのみち家族のものを勝手に売るのは、盗難と変わりないから、そこをつつくのと、チケットの件で警察に突き出すか。

 両方ともファンの人が指摘して、通報されている。


 今、妹のSNSもネットでつるし上げ食らっている。

 

 転売疑惑の件もそうだが、先日テレビに出て、いかにも自分が被害者ですと言わんばかりに主張していて、言動も痛々しかったので、炎上した。

 家族も終始妹のことを褒めるようなことを言わなかったので、批判されている。


 ネットでの反応はなべぶたとか、家族もなかなかクズや妹が働かないことに対して、厳しいコメントが並んでいた。


 中には妹の同級生や関係者を名乗る人が、過去の悪行やどこに住んでいるか、母がいかに厄介だったかを載せていた。

 それを元に、見ず知らずの人が妹の個人情報やテレビで写ってた鞄や宝飾品などを特定して、拡散していた。


 当然姪っ子と元義弟の名前やどこに住んでるかまで広まっている。


 この手の人は善意や野次馬根性で流しているから、厄介だ。 


 妹はSNSで批判が辛いと泣き言を投稿していたが、過去の投稿を遡って、炎上される要素を自分からつくりだしていた。


 転売疑惑もネットの人が指摘したことから表面化した。


 最初の結婚の時も、一部ネット掲示板で、妹のSNSをもとにいかに痛いやつかを勝手に載せて、"見世物”にされていた。


 今回また、SNSやテレビでの言動が掲示板やまとめサイトに掲載され、悪い意味での有名人になってしまった。


 妹は知らないだろうが、名前を検索すると、あっさり出てくる。SNSも昔のブログも未だに残されている。今回のテレビ出演で、消されないように魚拓されている。


 妹の過去の行いや言動は半永久的に残されることになる。


 就職するときに、採用側がSNSで調べるのに判断材料になるだろう。


 とはいえ、妹はまたフリマアプリやSNSのアカウント変えてまたやる可能性だってある。


 ネットの見世物になるのもいい薬だろうが、警察に突き出して社会的に抹殺させるのもありかもしれん。

 ただあの証拠だけじゃ、罰金支払って終了になりそうだ。


 罰金も自分で支払って貰わないといけない。絶対家族が手を出すのは、あいつのためにならない。

 

 40代になっても、未だに自分がやったことがいっこもわかってないのが滑稽こっけいだ。


 部下でも同僚でもこんなやついてほしくないが、まだ転職という逃げ道がある。身内だからこそ厄介だ。


 昔、妹のわがままやトラブルに振り回されたから、今がチャンスで楽しみで仕方ない。


 多分姉が聞いたら、あっそと無愛想に返しても、内心小躍りしているだろう。

 

 かつて妹に嫌がらせを受けていた同級生や近所の人やママ友だって、表向き心配するけど、心のどこかで喜んでいるかもしれない。


 同級生いじめたり、異性トラブル起こしたり、仕事したくないからと、元義弟に身の回り出来ないことを隠して大卒でストレート結婚して、働いてる人を馬鹿にしていたんだから。


 元義弟との離婚で妹は大きく転落しているが、それが現在進行形で続いている。


 今回のテレビ出演で、ネットで叩かれて身の程を知った方がいい。これも因果応報の1つだ。

 

 自分の仕事にも少し影響でている。


 見ず知らずの人から会社へイタ電やお問い合わせフォームに、妹のことで責任とれだ、犯罪者の身内だ、爆弾しかけたと嫌がらせの内容が送られてきた。


 ネットの情報をもとに、会社を特定したのだろうが、なんで妹の身内ということだけで、自分の会社に嫌がらせする理由が分からなかった。


 取引先や会社の同僚や部下も大変ですねと同情しつつも、なにか妹が他にやらかしてないかと透けて見えるので、語らないつもりだ。


 安直に田先家に出演を勧めた自分への代償なのかもしれない。それは甘んじることなく受け入れるしかない。

 

 妻も息子もいつ標的になるか分からないが、今のところ何もないのが救いだ。


 妻は今日から2日間、友人とお泊まりで不在とはいえ、ここで鉢合わせしたら最悪だ。蛇蝎のごとく嫌ってるし、妹の《《天敵》》だ。

 

 息子は大学が地元じゃなく都会の方だから、会うことはないだろうが、万が一帰省したときのことを考えて、しばらく帰らない方がいいと言った方がいいだろうか。


 息子は妹にあんまり会ったことがないが、多分苦手なタイプだと思う。

 今まで付き合った彼女の話を聞いたり会ったりした感じでは、正反対のタイプだから。

 

 かと言って、今無理矢理追い出すのもあれだ。


「呉松家の当主は鬼」なんて変な流言飛語りゅうげんひごを流されたらたまったもんじゃない。


 今日はせめてここにいてもらって、父に監視してもらおう。スマホも年寄り用にして、制限かけるか。


 早いうちに妹を追い出さいといけない。いつまでも実家にいてもらっても困る。


 確実に妻と妹で喧嘩になるだろうから。


 それに妹の転売のことを警察にきつく言われたほうがいい。


 田先家への返済を考えて、どのみち働いて貰わないといけない。


 元義弟にも話さないといけない。


「良輔、ちょっと」


 明博に呼ばれて耳打ちされた。


 良輔の口角が上がる。

 

 あえてさせるか。《《現実》》見てもらうためにも。


 いつかお前にもこのようになると、今のうちに目に焼き付けて貰おうじゃないか。

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