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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
8章

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5

 放送終了から1週間後の土曜日、結花はリビングに呼ばれた。

 何事かと思ったら周平と義理の子供達が仁王立ちで結花に冷たい視線を向けた。


「なんなの? あの格好? やっぱこいつ無理」


「ほんとそれ! お金ないとか言いながら、何自分はブランドもん着てたの? 私達のお小遣いぶんどってさ! ふざけんなよ? あとさ、うちのアニメグッズもあんたが来てからちょくちょくなくなってるんだけど、どういうこと?」 


「はぁ? なんのこと? アニメグッズ?! しらねぇよ。陰キャみたいな顔のお前に好かれてる大崎啓太おおさきけいたが可哀想」


 ふっと鼻で笑いながら結花は口笛を吹く。


「俺だって、れーやんの写真集とか、ライブDVDなくなってるんだよ! あいつが来てから。特にここ半年!」


 れーやんこと根元鈴夏ねもとれいかは今人気の女性声優である。


 ここ数年ライブ活動や話題昨に出てたことから人気でていたが、今年は子供から大人まで人気でたアニメに主役で出た。

 それ以来バラエティや朝の情報番組に出るようになった。


 アニメに馴染みないおっちゃんおばちゃんでも、子供や孫が見てるからとか、親子ではまったことから知名度が上がった。


 今年の夏に行われたライブに光河は運良く当たって、共にファンである葵依と一緒に楽しんでいた。

 混雑を回避するために、ライブグッズは事前に公式サイトでネット通販、当日買う方式か選べる。

 ネットも当日もそれぞれ限定品があり、光河はその日のためにずっとお小遣いを貯めいていた。


 しかしライブ終了後から、根元が出演していたアニメのタペストリーや、ライブで使ったペンライトやTシャツなどがちらほら消えていることが増えた。

 葵依も前々からと言っていたので、2人はずっとどこにあるんだろうかと探し回っている。


 先日テレビのインタビューで葵依が、自分の趣味の物が勝手に売られてるかもしれないとスタッフに指摘された。

 スタッフに探してほしいと言って快く引き受けてくれた。


 葵依が言っていたグッズは、フリマアプリで高額で取引されていた。全て万単位で売られていた。


 後日スタッフがもしかしたら、これじゃないですかとスクショしたものが葵依と光河のもとに送られてきた。


 2人がいつの間にかなくなっていたという、アニメやライブグッズが、高額で売られていた。


 大崎啓太と根元鈴夏のライブグッズやおそらく倍率多いことを見越してだろうか、2人のチケットも結花の取引履歴に入っていた。

 ライブチケットは大崎が30万、根元は150万と、明らかに法外な金額で取引されている。それも1つだけなく、複数あった。


「おい、どういうことだ? お前が来てからって? スマホ見せろ! 光河、葵依、お前達はあいつの私物で売れそうな物片っ端から持ってこい!」


 子供達はそそくさと2階の夫婦の部屋に向かった。


「ま、待って! ゆいちゃんのよ!」


 子供達を追いかけようとした瞬間、結花は周平にに腕を掴まれた。力が抜けて座り込んでしまった。


「お前はここで俺とお話じっくりしよう」


 振り向くと周平の目が据わっていた。


「な、なによ? ゆいちゃんの好きな格好よ! 何が悪いの?!」


 上目使いで見逃してと視線を送るが周平は「なんだその目は」と顔を指で小突いた。


「お前、葵依と光河のお小遣いぶんどってるみたいだな。どういうつもりだ?」


「あ、いや……そ、その……お、お母さん銀行として《《預かってる》》だけ、というか……」


 視線を下ろして本心を悟られないように必死になる。


 本当は子供達のお金で《《息抜き》》に遊びに行っている。どうしようバレちゃう。


 てかちょっとぐらいいいじゃん。専業主婦なんだからさ。


 ゆいちゃんは世界一可愛いからそれぐらい許してよ。


「じゃぁ、これはどういうことだ?」


 夫がスマホを見せてきた。


 紺色のスーツを着ている白髪頭で眼鏡かけた男性と私が大岳台おおたけだいの近くのレストランで食事している様子。

 男性2人に囲まれて手をつないで歩いている姿。

 近所のショッピングモールでブティックに入っている姿。


「あ、いや、その……と、友達だし? ゆ、ゆいちゃんは、男友達が、お、多いの? ね、見逃してよ?」


「はぁ? こんなの見逃せってか?! この文章見てまだ言うか?」

 

 ゆいちゃん 09/19 13:26:09

 夫マジむかつく。いきなり殴りかかっているし。子供達も意地悪してくる(T-T)


 けいちゃん 09/19 22:09:56 

 よしよし\(・_・)じゃぁ、気晴らしにランチ行こう。明日空いてる?


 ゆいちゃん 09/19 22:15:45

 うん! じゃぁ、ニューグランドホテルね!


 けいちゃん 09/19 22:30:27

 おっけー。

 ゆいちゃん 09/19 22:33:14

 やった! じゃぁ、駅まで迎えに来て。12時ね。予約もよろしく。じゃ、おやすみ(-o-)/


 ゆいちゃん 09/20 21:23:45

 今日楽しかったよー! ゆいちゃん可愛かったでしょぉ? また今度ね!


 けいちゃん 09/20 21:24:44

 ゆいちゃん可愛かったよ。やっぱ世界一可愛いと言ってるだけあるねぇ。また連絡するねー。


 しょうへー 09/26 21:25:33

 次どこ行く? いつ迎えに来たらいい?

 

 ゆいちゃん 09/26 23:22:17

 うーん、一宮のシーランドのモール内ならどこでもいいよ☆


 しょうへー 09/26 23:29:10

 了解∠(@O@) ビシッ!


 ゆいちゃん 09/29 21:26:39

 今日はありがとー! 大切に使うね♡

 

 しょうへー 09/29 22:33:15

 楽しかったよ! ゆいちゃん可愛いなぁ。


「他にもあるぞ? お前のSNSにな!」


 周平は結花のSNSを開いて、該当する日の投稿を見せてきた。


 メッセージでやりとりあった男性と思われる人から、鞄や服など「貰った」旨を投稿していた。


 海外ブランドのもので、値段は3万や10万などそれなりにするものだった。

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