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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
8章

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3

 2階の子供達の部屋へ向かうスタッフ。


 先に長男の光河こうがから話を聞くことにした。

 坊主頭で少しつり上がった目つき。

 薄紫色のジャージを着てインタビューに答える。


 ――お義母さんの第一印象は?


「まぁ、《《見た目》》は良さそうだったな。最初は《《多少》》上手くやってたと思う。みんなで遊園地行ったり、バーベキューしたりやってた。でも、だんだんうざくなってきた。見えないとこであおねえいじめるし、俺たちのお金を"お母さん銀行"として通帳とって管理しだしたんだ。そしたら……」


 いじめられているのは長女の葵依あおいのことだろう。


 お金管理しだしてから何が起きたんだ? 


 スタッフ達は今までのインタビューの内容を思い出して、なんとなく見当がついた。


「もしかして、お金取られた、ですか?」


 光河はうんと静かに頷いた。


「日に日に少額なくなっていくんだ。あおねえもおんなじでさ。あいつにきいてもしらばっくれたり、ごまかしたりして逃げてばっか」


 子供達のお金がぶんどられていることが全国ネットで広まれば、これは炎上すると同時に話題になりそうだ。

 昔っから"お母さん銀行"として子供達のお年玉やお祝いのお金を親が預かって、いざ使おうかというときに、勝手に親の贅沢品で使われていたというのはある。

 子供に同意を得た状態で進学費用の一部で使うのならともかく。


「見てください」と光河は、銀行のアプリの通知をスクショしたのをスタッフ達に見せる。


 数百円から万単位でちょくちょく通知が来ている。しかも平日の午前11時とか午後の13時とか、日中がほとんどだ。

 光河は「基本この時間帯俺は家で寝ている。あおんねえは学校行ってるし。お父さんやおじいちゃんおばあちゃんは仕事行ってるから、あの母親もどきが犯人だ」と話した。

 子供にとってお小遣いやお年玉は大金だ。

 

 ――これいわゆる横領とかいうやつじゃ……。


 スタッフ達は「おいおいマジかよ」とか「元気だして」となだめる。


 ――なんでお義母さんだと思うんですか?


「あいつ、前の夫に捨てられたんだぜ。専業主婦なのに、家のことなーんもせずに、夫のクレジットカードや子供のお金使って遊んでたんだぜ? しかも夫が倒れたというのに、他所の男と遊んでた上に騙してたってさ。おじいちゃんから聞いた」


「マジあいつ生理的に無理! 話し方も仕草もきっしょいんだよ。だって、40越えてさ、自分のこと名前で呼ぶやつなんている? いつまでもお姫様だとマジ思ってるお花畑女だ」


 思い出したのか自分の体をかばうように身震いする光河。

 うわぁそれは辛いですねとスタッフ達の顔色がさらに悪くなる。


「あおねえと俺の態度全然違うんだよ。俺にはスキンシップと称して、ベタベタ触ってくるし、恋人扱いしてくるし……逆だったらヤバいじゃん! あおねえには、まじ辛く当たってくるんだよ。服装を地味にしろだ、化粧するなとか、彼氏つくるなとかめっちゃ制限してくるんだ。なんというか、相手の弱点を引き合いにして、ネチネチ責めてくる感じ。同性どころか、男の俺とお父さんでも無理って言ってるし。そりゃ家族に捨てられるのは当然じゃね?」


 ――それはお義母さんが若くてもですか?


「うん、俺は無理。男の前で態度変えるやつにろくな人いないから」


 光河は鼻先で笑いながら「あいつまじ人を不愉快にさせる選手権、はい、ゆーしょー!」と続けた。


「なぁ、あいつ、インタビューで迷言言ってた? 教えてよ!」


 目を輝かせて質問する光河にスタッフ達は困惑する。


「それはお答えかねます」


 光河はちぇっと口先をとがらせて

「どうせ変なこと言ってるんでしょ? ネットのフリー素材にして拡散させるのがいいなぁ。どうせ自己顕示欲激しいんだから、ちょうどいいだろ。あいつがいかに頭おかしいか拡散してくれ。俺はとっととあいつが消えてくれることを願ってるから」

 と悪い顔をした。


 終始あいつ呼ばわりし、悪口を嬉々と話す光河を見て、スタッフ達は、苦い顔して、隣の葵依の部屋へ向かった。

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