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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
7章

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6

 実家に電話したら、母が久しぶりに出た。


「お母さん? ゆいちゃん追い出されたの」


『まぁ? ひどいわねぇ。お母さんもお父さんと良輔に厳しくされて好き勝手できないの』


 母の声が少し弾んでいる。夫いや、元夫の悪口は母の大好物の話題だからと思ってたら、母の愚痴が始まった。

 父と兄夫婦が母に厳しく接してるって。

 私とのやり取りは必要最低限のみ。買い物は父と一緒に。金銭管理は兄夫婦。以前みたいに好き勝手できないと。


「ねぇ、帰っていい?」


『ごめんねぇー。今日は遅いからさ……待って、良輔が……』


 兄が出ると言われた瞬間嫌な予感が脳裏に浮かぶ。また怒られるのかな。


『結花、聞いた。お前親として本当に最低なことしてくれたな。悠真くんの最後の情けを台無しにしたのは、お前自身だ。《《自業自得》》だ。《《被害者》》だと思うな。冠婚葬祭以外連絡するな。いいな? お前が野垂れ死のうが知ったこっちゃない』


 兄から再び実家と関わるな宣言に結花はひどいよ、やめて、お家に帰りたいと繰り返す。


『知らん。お前が撒いた種だろ? それにな、もうすぐ息子が帰省するから、お前のための部屋はない。以上』


 一方的に話すだけ話して、結花は肩を落とす。

 夫と娘にそして実家にも捨てられた。


 このままどうやって生きていったらいいの?


 慰謝料のこともあるし、仕事ないし、かと言って働きたくないし……パパにお願いしようかな?!


 結花は近所の公園に移動して、パパ活をした人達に電話をするが、ことごとく断られ続ける。


 そんな中唯一1晩だけならと言ってくれたパパがいた。昼間に相手してくれた人。


 場所は高宮台たかみやだいという春の台から更に東側にある住宅街。


 パパこと瀬ノ上雅史(せのうえまさし)さんが、現状を話すと今いる公園まで迎えに来てくれた。だいたい1時間で着いたと。


 瀬ノ上さんの家は高宮台駅から少し離れたところで、周りは大きな家が多い。


 ここがうちだよと指さしたのは、一際目立つ日本家屋(かおく)


 立派な門構えに迎えられ、今日はみんないないからとすきに使ってと洋室に案内された。


 部屋はアンティークな家具だらけで、思わず目を輝かせる。


 よし、これであわよくばここの息子と結婚すれば……また裕福な家の妻になれる。皆が思ってるような結末にはならない。


 話を聞いてくれた瀬ノ上さんは、しばらくいていいよと言ってくれた。


 今日は遅いから早く寝なさいと。


 喜んでいたら、災難は朝3日目の朝にやってきた。

 瀬ノ上さんの為に朝食作ってたら、夜勤帰りの息子に見つかった。


「――あなたどなたですか?」


 冷たい声で聞かれたとき身震いした。


「あ、お父さんの友達の呉松結花です。ゆいちゃんって呼んでね」


 上目づかいで自己紹介すると、息子さんは「はぁ?」と声を上げてた。

 声に気づいた瀬ノ上さんがキッチンにやってきて、息子さんと言い争いになってた。


「なんだこの女は?」「どういう関係だ?」「勝手に人を入れるな」と強く言い募る。


「お父さんの友達だ。仲良くしてあげて」「お母さんには内緒な」と男同士の約束をしていた。


 息子さんは「ふざけんな。呼ぶからな」というので、私はボディタッチでダメだよっと止める。


「なんだ、こいつ……」


 息子さんの顔が引きつって、キッチンの座り込む。


「この子可愛いでしょう。お前の嫁にどうだ?」


「バカ言ってるんじゃね!! お母さんに言うから! とっとと帰れ!」


 その後は、奥様に見つかって大喧嘩。慰謝料の請求された。約200万。複数回会ってるのも、バレてしまった。


 奥様から言われたのは、条件として家の手伝いとして離れに住むこと。そこで給料からしょっ引くと。


 家を追い出された話をしたから。


 そこからずっと毎日こき使われる日々。


「ここの掃除出来てないわよ!!」


「買い物付いてきてちょうだい」


「ご飯が冷たいからやり直し」


 たまに帰って来る息子さんにも、性的なことの関係に無理矢理持ち込まれそうになったり、暴言を言われてるけど、パパは何も止めない。

 

 最早私は召し使いになっていた。


 合間を縫って、婚活アプリやるけど、全然ダメ。


 やり取りが数回で終わって、デートにこぎつけれない。


 やっぱり、専業主婦希望じゃ無理?


 もしかして、前にマッチングアプリで騙してたこと知られてる?


「あなたに紹介したい人がいる。これを受け入れたら、《《借金帳消し》》になるけど?」


 5年後、奥様から紹介された男性とお見合いして、見た目は良さそうだったから再婚した。



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