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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
6章

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1

月曜の朝礼からバックヤードは緊張感に包まれていた。


 まるで何も話すなというような圧力。


 細身で背が高く、髪はスポーツ刈り、シャープな顔立ち大きく開いた目はまるで威圧するかのよう。男性ではなく女性だ。

「今日からこちらのヘルプで来てくださった尾澤万希おざわまきさんです」


 野崎は「一言どうぞ」と促す。


「どうも、みなさんおはようございます! 久しぶりにここに来たんで、忘れてるところあると思いますが、みなさんお手柔らかにお願いします!」


 尾澤が声は低めだが、明朗快活めいろうかいかつに挨拶をした後、スタッフ達は大きな拍手で包まれる。

 結花は尾澤の顔を見て「あらイケメン」と少し顔が赤くなる。


 うんうん、私のタイプね。背丈よし、顔よし、声もいいわ。あいつとは大違いね。

 どこの部門に入るの? 後で連絡先交換してもーらお!


 にやついた顔で尾澤に視線を送る結花は、野崎が業務連絡していても、全くメモを取らずだった。


「おーい、そこのあなたー! 真ん中の小柄の人!」


 業務連絡の最中に尾崎の低い声が響く。

 スタッフ達の視線は結花に集まる。


「え? なに? 私?」


 キョロキョロ見回す結花に尾澤は「そうだよ。キミだよ」と続ける。

 野崎は尾澤に反応して業務連絡を止める。


「あのさー、今、野崎店長がお話してる最中じゃん? メモ取らないの? それとも記憶力自慢系? じゃぁ、さっき言った内容、一語一句間違えずに言える?」


 業務連絡? 何それ。あのハゲの話なんてどうでもいいんだけど。それより私はあなたの個人的な連絡先とか、好きなタイプ聞きたいんだけど! 


 下にうつむいてメモ帳を開く。

 スタッフの名前やプロフィールがメモされている。

 彼女や妻子の有無、好きなタイプや家族構成、職業など、見た目を100点満点で評価しているもの、業務に一切関係ないことばかりだ。

 ペラペラとページをめくって、思い出す限り書き留めるが、出てこない。



 尾澤は結花のところにやってきて「ちょっと見せてくれるかーい?」とメモ帳を取り上げる。


 内容を見て尾澤は「……後でお話あるから。名前は? 依田結花さんね!」と呟いた。


 距離が近い! いやー、声がいいから心臓跳ね上がる! 顔近づけて!


「依田さん、じゃ朝礼終わったらね。野崎店長は今、今日のタイムセールの商品を話しているから、なにが目玉か忘れずに書いてね」


「は、はい……」


 強く怒られるかと思ったら軽いノリ言われたものだから、結花は呆気にとられる。


 尾澤の一声で結花は言われた通りのことをメモした。

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