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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
4章

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12

 ――駅で男性と腕を組んでいる姿。


 ――友人とランチをしている姿。


 な、なんで? こんなのが残ってるの?!


 き、気が動転して気分転換したかっただけよ。


 そうよ。私悪くない。


「いやー、急に友達に呼ばれてね、滅多に会えないし、久しぶりだからそっち優先しちゃった。夫には後で会ったから良いでしょ」


「じゃぁ、混乱してるという割には夫以外の男性と楽しそうに腕組んでるのどうしてです?」


「い、いや……あの、そ、夫のことで相談してて……」


 夫が倒れてヤバいどうしようと相談してたのは事実。お礼でちょっと遊んでただけよ。

 そんなに悪いこと?


「へー、結花さんって、夫が倒れたからって、わざわざ異性に相談するんだー」


「いいじゃない、友達なんだから! なんなの! キッショ!」


 なんで知ってるの? あー、これだから同性って大嫌いなの。容赦ないから。


 結花は「私、悪くないもん」と頬を膨らます。


「――りゅうちゃんこと、日下部龍太郎さん。半年前、マッチングアプリで知り合った20代の男性。過去にデートは4回ほど。ホテルまではいってないですが、悠真と陽鞠ちゃんがいない時に、白昼堂々手を繋いでデートしてますね? あなたのSNSにそれっぽいよがいくつか投稿ありましたし、やり取りの様子もあります」


 名前を出された結花の心臓が跳ね上がる。


 目の前が真っ暗になり、言葉を失う。


 え、もしかして知ってるパターン? どうやって突き止めた?


「幼馴染の磯崎望海さんとランチ。その最中に、悠真が倒れた連絡がきて、望海さんは早く行くように促しましたが、無視。それに関してお互い言い争いになり、ランチは中断。その後、あなたは日下部さんとゲーセンで遊んでいた。その帰りの様子を望海さんが目撃して、写真に残した。で、陽鞠ちゃんにメッセージアプリで送ったと。それもそうですね。異性とデートで忙しかったんですから。陽鞠ちゃんと私が何度も連絡してたにも関わらずです」


「これ、はっきり言って浮気よ? 陽鞠ちゃん不安だったのよ」


「これは、ただの友達とあそんでるだけ。ゆいちゃんは、モテないあんたと違って異性の友達が多いの。明日も他の男子と遊ぶから。りゅうちゃんはその中の一人に過ぎない。それが何か? それにの望海は、ゆいちゃんの女中なの。一緒にランチぐらいでうるさい」


 手をひらひらさせて私は悪くないと主張する。


 待って。りゅうちゃんと連絡取れないのって……もしかして、はるちゃんかあいつがなんかした?


「日下部さんに連絡取れないでしょ? それ、私の差金さしがねです。あなた、彼に年齢とか既婚者であることを隠してやってたので。真実を教えてあげました」


 陽貴と悠真が日下部龍太郎の元に訪問したのは昨日の夜。

 龍太郎は最初男性2人の訪問に面食らったが、結花の家族であることを告げたことで、家に上がることができた。


 結花は既婚者であること、彼女の夫とその兄であることを告げると、龍太郎は言葉を失った。

 悠真から、場合によっては慰謝料の請求する可能性あるので、洗いざらい話してほしいと交換条件として、龍太郎と結花の関係を語った。

 結婚を考えていたこと、家族にいずれ紹介するつもりだと述べていた。


 結花はアプリ内で20代だと設定していたので、本当は37であることを告げるとさらに肩を落とした。


 龍太郎曰く、指輪はなかったし、デートも土日以外もやっていたけど、家には絶対上がらせてくれなかったと言っていた。

 母と姉からこの人やめた方がいいと言われてたから、女の勘は侮れないと思ったらしい。


 ――仮に私と結花が離婚しても、結婚するのはやめた方がいいと思う。君を騙すような人だから。そういう人に引っかかって欲しくない。若いんだから。他の女性と幸せになって欲しい。それに結花と結婚しても、お金の浪費はエグいし、義理母が居座るから、苦労すると思うよ。


 ――日下部さんは騙されてた訳なんで、慰謝料請求ができると思います。というか彼女の為にもしてください。己の立場を分からせるためにも、荒療治が必要なんです。


 悠真が笑い飛ばしながら話す内容に、龍太郎はすみませんでしたと何度も頭をさげた。

 陽貴必死に頭を下げる龍太郎の姿に、追い詰めてるようで申し訳なく思った。


 それ以来、龍太郎は結花との連絡を避けた。 


「そ、そんな! 友達なのよ 結婚なんて冗談に決まってんじゃん。遊びなんだから。慰謝料請求とかふざけないでよ」 


 このセリフ女の人でもいう人いるんだなぁと陽貴は思わず感心した。


 龍太郎は騙されていたんだから。知らないまま結花に恋していたんだから。


「龍太郎さんは結構本気だったそうですよ。御家族にも紹介したいと仰ってました。だから私達があなたの”本当のこと”を全て説明致しました――《《未来ある若者の恋心》》をあなたは遊びで傷つけたんですよ。それ以外にも過去にあなたは無神経な発言や行動で多くの人を傷つけてきた、その《《ツケ》》が、影響が陽鞠ちゃんに来てるんですよ――担任の先生に辛くあたられてるんですよ。部活の部長にも。お2人共、あなたの中学時代の同級生であり、嫌がらせの《《被害者》》だったんです。これがどういう意味か分かりますか?」


「分かるわけないじゃん! だいたい昔の話っしょ? 何やったかも名前も覚えてないの! もう時効じゃん! 娘は関係ないしー。なんで蒸し返すの?」


 腕を組んで頬を膨らませて「そんなの知らない。娘が虐められるのはブサイクだからっしょ?」と突っぱねる。


 そうよ。難しいがいじめられるのは、夫に似て真面目で面白みが全くない。可愛げがひとつもない。

 地味めでインキャポジションの方がいい。それなら今の立場の方がいい。

 一丁前におしゃれを意識して出し抜かれてもムカつく。

 世界一可愛いのはゆいちゃんなんだから。


「まーだ、自分の立場が理解出来てないみたいですね。龍太郎さんから慰謝料請求の手続きが近いうちに来るでしょうし、このままだと悠真も陽鞠ちゃんからも愛想つかれますよ。陽鞠ちゃんはあなたのこと蛇蝎だかつの如く嫌ってるんですよ。軽蔑してるんですよ。あなたの今と昔のことで。嫌ってなかったら、私と妻のとこにいませんから。これが陽鞠ちゃんの答えなんです」


「そんなわけないわ! ちゃんと言うこと聞いてくれるわ。ちょっと強く出ればね、脅したら言うこと聞くし!」

 

 お小遣いあげないとか、スマホ取り上げるとか、部活やめてもらうよと学校生活に影響与えるような脅しを入れれば、すんなり言うこと聞いてくれるのに。


 私のこと軽蔑してるっての?! 

 子どものくせに! 馬鹿にして!

 込み上げてくる屈辱感。この世で嫌いなのは、見下されるのと蔑ろにされるのと、自分の意見が通らないこと。


「結花さん、これが現実なの。いい加減向き合ったらどう? あなたは最悪《《離婚フラグ》》立ってるの。どのみち働かないといけない状況よ? 日下部さんを騙してたということで。これでも専業主婦に固執するというの?」


「いいもん! お母さんとお父さんにお願いするもん!」

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