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世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!  作者: 月見里ゆずる
13章

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5

 琥珀と翡翠が解放され、数時間後に逮捕された。

 

 逮捕から1週間経ったため、今は拘留されている。

 当然勤務先の高級クラブ『カナリア』も解雇になった。

 キャスト達が嫌がらせを受けたのが、結花による仕業であることが分かったから。


 誘拐事件で出勤出来なくなった結花は、その間休みになった。

 あやめママからの配慮もあるが、その日に美音がママに一通のメッセージを送った。


『咲羽ちゃんが元夫に私の居場所を教えてたみたい。今、元夫がうちに押し入る形で、束縛されてる。だから出勤できなかったんです。本当にごめんなさい』


 咲羽と美音とやりとりをスクショしたのを送られ、あやめママはたいそう驚いた。

 

 ママは詳細をばやかしながら、キャスト達に説明した。その後、ベテランから『咲羽ちゃんが来てから、やめる子が増えたの彼女の仕業かも』と証言された。

 そこから芋づる式で咲羽に物盗まれたり、指名客に他のキャストの悪口を言ったりと嫌がらせがあったことが出た。

 咲羽は、ママにチクると夜道襲われるからと脅しをかけていた上、日頃から年下のキャスト達をこき使っていた。

 ママがいるとこでは、真面目にやっているように演じていただけだった。

 咲羽が主に年下のキャストをターゲットにしたのは、社会経験が浅いことから、年上である自分に逆らえないだろうと考えたからだ。

 

 常連客にもこっそりヒアリングした結果、咲羽ちゃんと一緒に接客している子が、失敗したらバックヤードでいびられてる話を聞いたと、次々出てきた。


 ママは自分がすぐに気づかなかったことに、キャスト達に頭をさげ、咲羽を解雇する方向でいた。

 その頃に結花が逮捕された報道を見たので、タイミングを狙ったように、正式解雇させた。

 

 未だに咲羽からの謝罪の言葉はない。


 共犯として捕まった川口は、日頃から稲本勤と庄吾が気に食わないと思っていた。


 特に庄吾は俳優として注目されだしたこと、その妻である陽鞠も知名度アップして、調子に乗ってるように見えたので、一泡吹かせたいと思っていた。


 結花との関係は、川口の行きつけの高級クラブだった。咲羽こと結花の指名客が川口だった。

 結花が娘と夫を探しているとのことで、川口が協力した。


 陽鞠の近況を見つけ出して、稲本家と関わりがあることを知った。


 結花が娘が有名人と結婚して小説家として活躍しているのが気に入らなかったから、ちょっとからかってやろうと思っていた。

 とどのつまり、川口と結花は利害の一致と言えばいいのか、ターゲットが一緒だから結託した。


 それが自作自演の誘拐・脅迫事件、そして和野ノワの暴露だった。


 和野ノワこと堀内は川口の《《手下》》だから。


 そもそも川口は、稲本勤の秘書兼家の手伝いをするのは表向きの顔で、裏では10代から20代の子を中心に"バイト紹介"と称して、詐欺や脅迫をやらせていた――いわゆる闇バイトの斡旋をしていた。

 

 川口は指示役、堀内はその側近のような存在、曽田と神牧は実行犯と言えばいいのか、スケープゴートのような扱いだった。

 

 堀内は和野ノワとして、炎上した一般人暴露やその家へ突撃する動画を2年前からやっていたが、なかなか登録者、視聴者数が伸びなかった。

 すぐにアカウント通報され、消えてしまうから。

 それでもほとぼり冷めた頃に、同じようにして繰り返してきた。

 

 女性支援団体『ねむの木』の補助金を不正に受け取ってる疑惑を真相突き止め、話題になった。

 これも川口の手伝いによるものだった。


『麦の家』の代表の大河内瑠衣おおこうちるいは、貧困に悩んだり、性的被害に悩む女性の支援をしているが、ネット上で過激なフェミニストな発言することから、嫌われていた。

 同性からもあんまり評判よろしくなく、盲目的な支持者や野次馬で囲まれていた。


 川口は大河内が日頃から嫌われていることで、なにか不祥事ないかなーと嫌がらせするために、堀内と共に勝手に調査していた。

 最初は支持されて調子乗ってる大河内ウザイし、不祥事起きてほしいだったが、本当に不正にお金を貰っていたというオチだった。

 

 川口が堀内に「結花に頼まれてさ、陽鞠の身辺を探っても欲しい」とお願いした。

 元々人のプライベートや弱味を見つけるのが趣味な堀内は、すぐに乗った。


 そこで陽鞠が”長谷川ひかる”として、小説家になってたこと、人気俳優稲本庄吾の妻であることが分かった。

 川口は庄吾が陽鞠との関係を知っていたが、あえて黙っていた。


 誰がリークしたか、すぐ絞られるからだ。

 あくまでも、和野ノワが自分で突き止めて、それをもとに暴露するという形にしたかった。

 


 庄吾の父、稲本勤は川口がこのようなことをやっていることを知らなかった。

 しかし稲本家に深く関わっている人間が、闇バイトの親玉ということが表面化した。

 マスコミは勤が川口の闇バイトをしていたことを認識していなかったのか、徹底的に追求した。


 私は闇バイトに関わっていません。

 身辺を調べ上げて雇い入れたにも関わらず、自分の監督不足や慢心により、孫達を危険な目に遭わせてしまった。

 批判が来るのは仕方ないとはいえ、嫌がらせや誹謗中傷を正当化されるものではありません。

 どうかご理解いただけるようお願いします。

 8月21日 稲本勤

 

 川口のことが表沙汰になってから、勤の仕事場に生卵が投げつけられたり、誹謗中傷のコメント、殺害予告がくるようになった。

 結局任期終了を機に、勤は議員を辞めることになった。


 批判は勤だけでなく、稲本夫妻や結花の姉の静華のもとにも来た。

 勤同様、結花への監督不足に対する批判だ。


 座敷牢に閉じ込めとけとか、自分達だけ安全圏にいるな。被害者になるな、お前は加害者家族と自覚しろと誹謗中傷や嫌がらせコメントが続いた。

 長年結花の存在を身内以外話してなかったので、静華としては、どこでそんな情報がと驚きを隠せなかった。


 元妹とは諸事情により絶縁しており、身内として認識していません。

 私の兄弟は兄だけです。

 現在元妹に関することで、自宅や勤務先に投石や生卵を投げつけられる、脅迫メールなど嫌がらせが来ています。

 それに対してやめるようお願いしても自作自演と情報が流れてます。

 誹謗中傷及び嫌がらせに関して、警察に相談し、話がまとまり次第法的措置を取ります。

 今後一切元妹に関するコメントはいたしませんし、引き続き関わりません。

 以上。

 8月24日 大塚静華

  


 その一方で、同情的なものや今後を応援する内容も来た。

 陽鞠が長谷川ひかるであることが知られ、今放送している『母親もどき』は次週以降の放送は一旦見送られた。

 

 出演者が何かスキャンダルを起こした訳ではないが、作中に誘拐する描写があることからだ。

 打ち切りにすべきと要望が相次いだが、しないでほしいもあった。

 作品がフィクションであることを強調した上で、1話からネット配信限定になった。

 

 物語の後半に主人公の姑役である高橋誠子が、主人公の過去を調べ上げ、現在進行形でパートの同僚に嫌がらせをしていることを知り、厳しく追及していく姿は視聴者を釘付けにさせた。

 

 一部ネットでは、母親もどきの主役のモデルは結花じゃないかと広まったが、陽鞠は答えていない。

 

 ドラマ放送終了後も陽鞠は小説家として活動を続ける意向を発表した。

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