幼少期
第8話 幼少期
5歳になった。その5年間は非常に平和で幸せなものだった。父も母も優しく、妹がいる4人暮らし。
「母さん! 新しい魔法を覚えたよ!」
「まあ、すごいわね!」
手を広げ、手のひらを上に向けて、小さな氷の結晶を作り出す。
俺は外で魔法の練習をしては、新しいものを習得して、母に見せるのが日課だった。
「ニブルは本当にすごいわね! 魔法なんて普通5歳では使えないわよ。やはり天才ね!」
そう言っていつも褒めてくれる。だから、俺も嬉しくて、母さんを喜ばせるために、毎日魔法の練習をしていた。
「ただいまー。お! また魔法使えるようになったのか。ニブルは才能があるなあ。よしよし」
「父さん、おかえり! 畑仕事おつかれさま!」
桑を持った父親が仕事から帰ってきた。家に入ってきてすぐ、俺に寄ってきて頭をポンポンと叩いた。
「おにいちゃん、すごーい!」
母の隣にいるのは、3歳の妹のセレナだ。
「わたしもまほう、つかえるようになるかなー?」
「セレナもきっと使えるようになるわよ」
母がセレナの頭を撫でる。
「ほんとー? おにいちゃんにおしえてもらわないと!」
セレナが目を輝かせて、俺と同じように手をかざして、魔法を出そうとしながら、むむむっと言っている。
「セレナ、俺が今度教えてあげるよ!」
「やったー!」
セレナが万歳しながらぴょんぴょん跳んでいる。
こんな平和で幸せな空間が味わえて、転生して良かったと思った。