フレアスライム2
ニブルたちはついに、燃え続ける村でフレアスライムと対面する。村は焼け焦げ、炎の中に浮かぶ男の姿が見える。その体は絶え間なく燃えており、炎が彼の周囲を取り囲んでいた。
ニブルたちは戦闘の構えを取ろうとしたが、フレアスライムは意外な言葉を口にする。
「お前たちが戦う理由などない。俺には、もう戦いたくも、勝ちたいとも思う理由はない…」
その言葉に、ニブルは戸惑い、他の仲間たちも一瞬言葉を失った。フレアスライムは何かを背負った目をしていた。彼は、もはや争うことに意味を見出さず、ただ過去と向き合っているようだった。
「俺は、もう終わっている。もしもお前たちが来たのは、俺を倒しに来たのなら…その必要はない。」フレアスライムの目には、どこか切なさが滲んでいた。
リリスが慎重に尋ねた。「じゃあ、あなたが望んでいることは何?」
フレアスライムは、長い沈黙の後、ゆっくりと答えた。「俺が望んでいるのは…もう一度、あの場所に戻ることだ。彼女の元に。」
ニブルたちは驚きながらも、彼の過去を感じ取った。彼が過去の悲劇を背負い続けていること、そしてその痛みから解放されることを望んでいることがわかった。
「君の…彼女は、もういないのか?」シルフィーが言葉を呑み込むように問いかけた。
「そうだ。」フレアスライムは、無表情で答えた。「40年、無限に燃え続ける体で守ってきたが…彼女を失った事実は、消えない。」
その言葉を聞いたニブルは、フレアスライムが求めているのは戦いではなく、ただの解放であることに気づく。彼がどれだけ絶望的な状態であっても、戦うことで何かが変わるわけではない。彼はもはやただ、終わりを求めているだけだった。
「なら、君を終わらせてあげる。」ニブルは静かに言った。
フレアスライムは、少し驚いた表情を見せたが、すぐに深くうなずいた。「頼む…俺を、彼女の元に行かせてくれ。」
ニブルは、フレアスライムが求める安らぎを与えることに決めた。そして、仲間たちの協力を得て、フレアスライムを倒す方法を考えた。彼の体は燃え続け、無尽蔵に燃料を供給し続ける炎がある限り、彼を完全に倒すのは難しい。しかし、フレアスライム自身が求めているのは死ではなく、解放だった。
「君の痛みを終わらせてやる。」ニブルは冷静に、フレアスライムの炎の源である細胞を破壊する方法を見つけ出した。
そして、彼が解放されるその瞬間、フレアスライムはかつての人間だった姿を取り戻し、温かな微笑みを浮かべながら、ゆっくりと消えていった。
「ありがとう…お前たちのおかげで、俺はやっと彼女の元へ行ける。」
フレアスライムが消えると、燃え続けていた村は、静けさを取り戻した。その後、村は再生され、火の国の平穏が戻った。
ニブルたちは、その後も旅を続けるが、フレアスライムの心の中にあった深い悲しみと絶望、そして最後の解放に触れたことは、彼らにとっても深い意味を持つ出来事となった。




