フレアスライム
かつて、フレアスライムはのどかな平和な村で、冒険者として名を馳せていた。戦争のない静かな村で、彼は心安らかな日々を送っていた。そして、旅先で出会った彼女と心を通わせ、結婚してここに住もうと考えていた。二人は幸せな未来を夢見ていたのだ。
だが、運命の悪戯は突如として彼を襲う。ある日、フレアスライムが家を空けている間に、家が火事になり、彼の最愛の女性はその炎に飲まれて命を落としてしまった。彼が帰った時には、家は跡形もなく焼け落ちており、彼女の姿はどこにも見当たらなかった。
フレアスライムは我を忘れ、燃え盛る家の中に飛び込んだ。彼女を探し、必死に呼びかけながら火の中を探し回った。体は火傷し、痛みが全身を貫いたが、彼女を探すことだけが頭を占めていた。
だが、どんなに探しても、彼女は見つからなかった。絶望と無力感が彼を襲う中、ついに彼の体力は尽き、火傷の痛みに耐えきれなくなった。彼は燃える村の中で力尽き、死にかけた。
1週間が経過し、フレアスライムはまだ虫の息で、死にかけの状態であった。その時、スライム軍の科学者が現れた。彼はフレアスライムに、もう一度動ける体が欲しいかと問いかける。その代わり、スライムとしての命令を受け入れ、この村を守り続ける役割を与えるという提案をした。
絶望的な状況の中で、フレアスライムはその提案を受け入れた。彼はまだ信じていた、彼女が生きていると。そして、動ける体を手に入れれば、彼女を探し出せると思っていた。スライムの体になっても、彼女と一緒に過ごすことができると信じていた。
スライムとなったフレアスライムは、その新しい体で村を守る役目を与えられた。だが、彼の探し続けた彼女の姿はどこにもなかった。焼け跡を何度も探し、彼女の無惨な焼け焦げた死体を発見した時、フレアスライムは絶望の中で叫び、泣き崩れた。
彼はすべてを失った。愛した者も、夢見た未来も。心の中に残ったのは、無限の絶望と深い孤独だけだった。
それから40年、フレアスライムは無尽蔵に燃え続ける体で村を守り続けた。スライムの細胞が彼の体内で可燃性ガスを無限に生成し、彼はその炎に包まれて燃え続けることとなった。最初はその痛みが耐え難かったが、年月が経つにつれて彼はその痛みにも慣れていった。今ではその炎こそが自分の一部となり、彼の命の象徴であり、絶望の象徴となっていた。
そして、40年という年月が過ぎ、フレアスライムはかつての人間としての面影を失い、ただ燃え続けるスライムの塊として村を守り続けている。彼の心の中では、未だに彼女のことを忘れることができず、燃え続ける体で過ごすことが唯一の「生きている証」となっていた。




