誘惑の国
ニブルたちは、ついに「誘惑の国」へと足を踏み入れた。街の雰囲気は、どこか異次元から抜け出してきたような、不安定で奇妙な魅力に満ちている。街を歩くと、露出の多い衣装を着た女性たちが目に入り、匂い立つ香水が鼻をつく。その風景に、ニブルは一瞬戸惑いを覚える。
「ここが…誘惑の国か。」ニブルは少し不安げに呟いた。
同行していた仲間の一人、ミラは淡々と答える。「そう。気をつけろよ、ここでは何でも買えるけど、代償を支払うことを忘れるな。」
ニブルは周囲の様子を観察し、ここが普通の街ではないことをすぐに理解した。誰もが心地よさそうに、まるで時間が止まったかのように過ごしている。しかし、その裏には恐ろしい力が働いていることを感じ取った。
ふと、通りの先に見覚えのある顔が目に入った。それは、街で最も有名なサキュバス、リリスだった。彼女は美しい外見をしており、すべての視線を一瞬で引き寄せる力を持っていた。そのためか、周囲の男性たちは彼女に熱い視線を送っていたが、リリスは一切反応せず、目の前にいたニブルに突然視線を投げかけた。
ニブルと目が合った瞬間、リリスの顔が一瞬、驚きと不安に歪んだ。それはすぐに笑顔に変わったものの、その眼差しにはどこか隠しきれないものがあった。
「あなたもここで働いているのですか?」ニブルは思わず問いかけた。
リリスは一瞬躊躇した後、肩をすくめて答えた。「私のようなものが、この国で何をしているか、あなたにはわからないでしょう。」
その言葉に、ニブルは何かを感じ取る。リリスは何かから逃げようとしているのだ。しかし、ニブルはその理由をすぐには尋ねなかった。代わりに、彼女を助ける方法を考えながら、街の奥へ進んでいった。
その時、突然、街の空気が一変した。どこからともなく現れたのは、サキュバスの親玉――スライムだった。その巨大なスライムは、町の人々を呑み込もうとし、混乱を引き起こした。ニブルはすぐに剣を抜き、戦闘態勢に入る。
「これは…ただの冒険じゃないな。」ニブルは心の中でつぶやき、スライムの動きを追った。




