宣戦布告
「報告しよう。魔王様が蘇った」
その言葉が響いた瞬間、周りにいた冒険者たちは一斉にざわめき始めた。
「魔王が蘇ったって?」
「何百年もいなかった魔王が……復活してしまったのか……」
「平和な時代が終わるのか……」
「予言の通りだ……」
一人、また一人と声を上げ、恐怖と不安が広がっていく。長い間、平和が続いていたこの世界で、魔王の名が再び口にされるとは、誰もが予想していなかった。
その時、さらに衝撃的な言葉が続いた。
「正確には我々スライムが魔王を倒し、その座を奪い取ったのだ」
その言葉に、周囲は一層驚きと困惑に包まれる。スライムが魔王を倒すなんて、到底信じられなかった。だが、スライムが魔王の力を取り込んだという事実が、それを無視できないものにしていた。
「魔王様の力が復活した今、お前たちの国を攻めていく。覚悟しておけ」
スライムは冷徹に告げ、立ち去っていった。その背中を見送りながら、冒険者たちの心は次第に重く、そして不安で満ちていった。
「魔王とは一体なんなのか?」と、恐る恐る誰かが問いかけた。話は続く。
「魔王は、大昔、世界を滅ぼし、人類をほぼ全滅に追い込んだ張本人だ。彼は、兄弟のように強力な魔力を持っていて、世界を滅ぼすほどの力を持っていたと言われている。その力は、誰にも止められず、しばらくの間、世界は彼の手のひらの上にあった。しかし、ある時、勇者が現れ、命を懸けて戦ったことで、魔王は倒され、弱体化し、最終的には世界のどこかに封印されたんだ。だが、どうやらその封印が解け、魔王の力が復活したということだ。つまり、これからの世界は……」
言葉を詰まらせるその者の顔には、深い恐怖と絶望が浮かんでいた。
「つまり、これからの世界は、大混乱、そして絶望の時代が訪れるということだ」
その言葉が、周囲の冒険者たちの胸に深く突き刺さった。魔王の復活が意味すること。それは単なる復讐の始まりではない。今後、どんな形で世界が変わり、どれだけの命が失われるのか、誰にも予測がつかなかった。
それでも、どこかで希望を見出そうとする者もいる。勇者のような存在が現れることを願い、戦う覚悟を決める者もいれば、混乱を恐れて逃げる者もいるだろう。しかし、スライムの言葉が示した通り、今や世界は魔王の力に飲み込まれつつある。新たな時代の幕が開けたのだと、誰もが感じ取っていた。
この世界は、再び暗黒の時代へと突入しようとしていた。




