91話 武具調達
軍事学校の開校もいよいよ迫ってきた。しかし、その前にやっておかないといけない事がある。
武具の調達だ。さすがに武器もないのに軍事学校をやるというのは無理がありすぎるだろう。
今回は、ファーランド政府の支援があるため、短剣グラディウスを一人一本渡せることになった。とはいえ、それ一本では心もとないため、僕はイリスの武器屋に頼むことにした。生徒の武器は自分で作りたいところでもあるが、さすがに100個作るのは僕一人では無理だ。
「いらっしゃい」
そう言って迎えてくれたのは、イリスでも指折りの実力を持つと言われる武器屋の女性、ダグマルさんだ。エプロンを着て、少し汚れているが、いかにも熟練の武器屋と言う感じだ。髪は緑の布で束ねている。
「すいません。私は錬金術師のフェイと言う者です。武器を見せていただいてもよろしいですか?」
僕は聞いた。
「そりゃうちは武器屋だからね。好きなだけ見て行きなよ。あ、でも冷やかしは勘弁だよ!」
そう言うダグマルさん。
冷やかすつもりはなかったし、僕は武器を見て回る。どれもこれも素晴らしい出来だ。ただ、僕としては注目する武器は決めていた。ロングボウ、つまり弓だ。
「弓を見せていただいても良いですか?」
僕は言った。
「意外に渋いチョイスだね。あんた冒険者じゃないのかい?」
そう聞くダグマルさん。
「一応冒険者……だったような気もしますが。今はカランで軍事学校をやろうと思ってますね」
僕は言った。
「ああ、あの変てこりんなチラシの犯人か。それじゃ何か? いっぱい買ってくれるわけ?」
そう聞くダグマルさん。
「そうですね。正式装備は100。それに加え、生徒に合った武器を追加で欲しい所ですが」
僕は武器を眺めながらそう言った。
さすがに彼女も驚いたようだ。
「あははは! そりゃまた派手なお客様だねえ。そんなに金があるのかい?」
そう聞くダグマル。
「金はあります。政府からも出てますからね」
宮仕えの利点というやつだ。
「私も技術には自信があるけど、100揃えるとなるとちょっと厳しいよ。かなり時間はかかるだろうね。欲しいのはロングボウなのかい?」
そう聞くダグマルさん。
「そうですね。それに加え、パイクも欲しいし、できたらハルバードも欲しいですね」
僕は言った。
パイクは強力な長槍。ハルバードは更に斧が先に付いた武器だ。いずれもアルパの騎士団との戦いを想定したものだ。本来、軍事学校の生徒はしっかり育てて指揮官にしたいと思っていたが、もうアルパとの関係も相当きな臭いし、そうも言っていられない。
「アルパと戦争でもするのかい? それにしても、ハルバードは相当筋力がないと扱えないと思うけどねえ」
そういうダグマルさん。
「そうですね。ハルバードは恐らく、10本か、それぐらいでお願いします」
僕はそう言った。
「パイクは100本かい? 了解したけど、私一人じゃ無理だよ。知り合いにも作ってもらって良いかい?」
そう聞くダグマルさん。
「著しく質が落ちるのでなければそれで良いです。とにかく急いでお願いします」
僕はそう言った。




