89話 入学試験(後編)
カランに戻った頃には、500人程に減っていた。
「みんな、ご苦労様。それでは、筆記試験を行います」
僕はそう言った。
次は筆記試験だ。大陸に関しての様々な歴史や一般常識、軍事や経済に関しての知識を問う。
これに関しては、苦戦する魔族が多かった。魔族は基本的にグランテイルから出ないし、知識に乏しいのだ。
もっとも、僕は筆記試験だけで選抜をするつもりは無かった。これに加え、実技試験を行い、その総合点数で合格者を決する。
実技は近接戦闘力、遠隔戦闘力、魔力を見る。これに加え、何らかの特技を持っているものは加点する。例えば空を飛べるとか、何らかの特殊な経験があるとか。
そうして試験は終わった。
「皆様、お疲れさまでした。合格と不合格に関しては通知しますので」
僕はそう言った。
やれやれ、と言う感じでみんな帰っていく。魔族の中には、一度ここで合否を聞いていくものも居るようだ。そういう連中は寮に留めてある。一度グランテイルに帰ってしまうと大変だからな。
「どうだった? シギス」
僕はシギスに聞いてみた。
「どうだった? と言われてましてもねえ。個性的な連中が多すぎて、何とも言えませんよ」
そう言うシギス。
「だよねえ。ちゃんと判定できるの? フェイ君」
そう言うドロテア。
「ん、まあ点数は付けたけどね」
僕は点数表を作成した。後はこれを計算すればいいだけだ。
「ちなみに私は何点?」
そう聞くヴァンダ。彼女も何故か参加していた。
「秘密……、と言いたいところだけど、君は6位で合格だよ。何故参加してるのか謎なんだけど」
僕は言った。
「いやいや。ヴァンダちゃんは教師枠じゃないの!? 何で参加してるのよ!」
ドロテアが全力でツッコんだ。
「いや、私も実力を試したかったし。それにしても6位か……、私より上が5人も居るんだね」
そんな事を言うヴァンダちゃん。無表情だが、内心は嬉しいのかもしれない。
「相当凄いメンバーが集まったからね。6位でも大したものだよ」
僕はそう言った。