87話 募集
要塞の建設に並行して、僕は職人たちに命じて、軍事学校を作らせた。
軍事学校は、カランの城壁の外、岬の根本あたりに作ることにした。当然、守備も固めなくてはならない。新たに城壁を拡張する。
主要な教室の他、訓練場、図書館、食堂、寮などを作る。それに加えて、厩舎や牧場、農場も用意した。割と何でもありだ。
「軍事学校じゃないのか? 何で農場を作ってるんだ」
からかうヴァンダちゃん。
「食べることも大事だよ。腹が減っては戦はできないからね」
僕はそう言った。
コンクリートの力もあって、まず要塞が完成した。街の人たちにも告げた後、鎖をかけた。これでひとまず安心だろう。
要塞には、ファーランド兵が警備してくれることになっている。人数は20人ぐらいだ。
軍事学校の作成に合わせて、大々的に募集をかけた。版画で大量のチラシを作り、方々に配った。ファーランド全国はもちろん、コーネリアやグランテイル、エルティアやドラコニアにまでだ。
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カラン軍事学校生徒募集!
君の手でファーランドを守ろう!
給料、寮、食事付き!
卒業するとファーランド軍の指揮官になれます!
詳細はカランのフェイ錬金店まで。
フェイ
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こんな感じで。
また、シギスにも教師になってもらうよう頼んでみた。
「嫌だ」
とにべもなかった。
「何で? シギスも教師やろうよ」
僕はそう言った。
「冗談じゃないっすよ、隊長。俺は軍人が嫌になって遊牧民に戻ったんだぜ。何でまた軍人やらねえといけねえんだよ。おかしいだろ」
そう言うシギス。
「軍人はやらなくていいよ。ただ馬の乗り方を教えてくれればいいさ」
僕はそう言った。
「そういうわけにもいかんでしょう。教師となれば、戦いのやり方も教えねえといけねえ」
シギスはそう言った。
「しかし、ファーランドは戦う力をあまり持たない。今後の事を考えれば、後進を育てるのも必要じゃないか?」
僕はそう言った。
「……」
シギスは考えていた。
そして意を決して言った。
「ま、馬の乗り方を教えるぐらいなら構いませんがね……。本当にそれで良いんですね?」
シギスはそう言った。
「ああ! ありがとう!」
僕は喜んだ。