86話 要塞の建設
僕は民会で、カランにおいて軍事学校に併設して、要塞と鎖を作ることを提案した。
当然ながら難色を示された。軍事学校だけでもかなりの予算を付けてもらっているのに、それ以上要求するとは何事か、と。
「しかし今や、海賊の被害は現実的なものとなっています。イリスは対応してくださるので?」
僕は言った。
「対応はしている! だが、敵の動きは読めないし、イリスの防御も無視はできん。カランに構っている暇はないのだ」
そう言うルシールさん。
結局、予算はこれ以上増えなかったが、要塞を作ることは認められた。僕はイリスの職人を200人程連れ、カランへと戻った。
カランでは、アーダちゃんが何かネバネバしたものを練っていた。
「それは?」
僕が聞いた。
「ああ、コンクリートですよ。これを使えば、簡単に要塞が作れると思います」
そういうアーダちゃん。これも古代ドワーフの技術なんだろうか。
職人たちは石を積み、煉瓦を積み、コンクリートで固めて行った。職人たちもコンクリートには驚いたようだ。あんまりファーランドでは見たことが無い。
それでも要塞は徐々に出来上がって行った。まず土台を構成し、石や煉瓦で防御を固めていく。高さも必要だ。
とはいえ、日数はかなりかかるようだ。僕は巨大な鉄の鎖を作成し、要塞の完成を待つことにした。