85話 鎖
シルヴィアさんは申し訳ないけど置いて行き、僕、ヴァンダちゃん、ドロテア、ブランカ師匠、アドリアンさん、アーダちゃんの6人は、岬へと向かった。
カランは本当に小さな地域を城壁で囲っている。その外に出て、岬の先へと向かった。道中は何もなく、荒れ果てている。
岬の先ももちろん何も無かった。しかし、砂浜の先に向こう岸が見える。短い。10メートルも無いんじゃないか。
「ふむ、狭いけど……。でも船が入れない程ではないね」
ヴァンダちゃんはそう言った。
「ここを警戒していれば、変な船は防げるかもしれないけど……、そうもいかないかな」
ドロテアはそう言った。
僕は考える。頭の中でプランを組み立てた。
……、行けそうな気がする。
「この岬と向こう岸に要塞を作り、鎖で封鎖すれば、『門』にできるんじゃないかな」
僕はそう言った。
「何と!? 何とも壮大な計画ですな」
そういうアドリアンさん。
「理論上は可能だろうけど……、相当な資金と時間が必要では無いですか」
アーダちゃんはそう言った。
「そうだとしても、やる価値はあるよ。いずれにせよ、軍事学校を作らないといけないしね。ここに要塞を作り、ついでに学校も作れば一石二鳥だ」
僕は言った。
「良い考えだ、フェイ。私も頑張って協力するよ」
ブランカ師匠はそう言った。
「私も良い考えだと思う。でもお前、鎖はともかく、要塞なんて作れるのか?」
そう聞くヴァンダちゃん。
「さすがに要塞を作ったことはないけどね……。イリスの職人を呼ぶか、シルヴィアさんに相談してみるか……。まあ、軍事学校を作る前にやることがたくさんありそうだね」
僕はそう言った。
「話が大きくなってきたね。ま、お金があるのは良い事だよ」
そう言うドロテア。
「フェイ殿も今や一国一城の主ですな。仕え甲斐があるというものだ」
アドリアンさんはそう言っていた。