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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第五章 鎖の街 カラン軍事学校編
84/146

84話 閉じた街


 その日の夜、僕達はシルヴァレスト号と共に、カランへと戻った。

 

 カランは相変わらず平穏だった。しかし、遠くに漁に出た漁師の中には、海賊と遭遇して船を焼かれ、命からがら逃げ帰った人も居るようだ。

 

 海賊による被害は増え続けている。何とかしなければいけないが……、今すぐにどうにかすることもできないだろう。

 

 その日僕は、疲れてすぐに寝てしまった。

 

 

 次の日起きると、もう昼になっていた。僕が街に出ると、漁師たちが話し合っていた。

 

「あんたんとこもやられたのか」

「ひでえ連中だ。どうしようもねえ」

「困ったねえ。もう船も出せやしねえ」


 本当に困っている漁師たち。海賊たちが我が物顔で闊歩している現状、どうにもならない。

 

「フェイ様、どうにかなりませんかねえ」

 そう頼む漁師。

「……今すぐにはどうにもなりませんが、考えてみます」

 僕はそう言った。

 

 仲間の皆が起きると、僕は皆を集め、相談した。

 

「……というわけで、海賊の被害が多くなっている。どうすればいいと思う?」

 僕はそう聞いた。

 

「どうも何も、海賊を倒すしかないんじゃないの?」

 そう言うドロテア。

「そうは言っても、敵は海の上に居るのだぞ。簡単にどうなるものでもないだろう。第一、敵は火矢を使うようだ。船で近づいたらたちまち火だるまだぞ」

 そう言うアドリアンさん。

 

「ドロテアの魔法で何とかならないか?」

 僕は聞いた。

「それは難しいね。海の上で魔法を使うと、私達も巻き込まれるだろうから」

 そう言うドロテア。

 

「厄介じゃな。大砲でもあれば叩きのめすことができるじゃろうが」

 シルヴィアさんはそう言った。

「しかし今すぐ大砲を作るというわけにはいかないでしょう。火薬も必要ですし……」

 アーダちゃんはそう言った。

 

「そもそも、ここはどういう街なんだ?」

 そう聞くヴァンダちゃん。

「? どういう意味?」

 僕は聞いた。

 

「地形とか、防備とかですよ。それもわからずにどうなるものでもないでしょう」

 そういうヴァンダちゃん。確かにそうだな。

 

「んー、そうだね。ここは『カラン川』っていう川の河口のあたりの街だよ。複雑な湾があって、その奥にある街って感じかな」

 僕は言った。

 

 カランはちょうどファーランドの対極みたいな形状をしている。ファーランドが岬の先にある『開かれた街』ならば、カランは湾の奥に潜む『閉じた街』だろうか。

 

「仮にそれが本当だとしたら、湾口を封鎖すれば海賊を防げるのでは?」

 そう聞くヴァンダちゃん。

 

「……なるほど。良いかもしれない。ちょっと湾口を見に行こうか」

 僕は言った。

「わ、ワシは無理だぞ!」

 そういうシルヴィアさん。太陽は苦手なようだ。

 


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