83話 話終わって
師匠の話は衝撃的だった。色んな意味で。
誰もしばらく語ろうとはしなかった。
しかし、ドロテアが口を開いた。
「酷い話だね。アルパにせよベルクランドにせよ、狂ってるとしか思えないよ」
ドロテアはそう言った。怒りを感じているようだ。
「そうだな……」
アドリアンさんも同意した。
「大変じゃったな、ブランカ。世を発展させるのは難しいが、過ちに気付くのはもっと難しい。お前は良くやったわ」
そういうシルヴィアさん。
「そう言っていただけると心が休まりますが、……、しかし、私も不肖の弟子で申し訳ない」
ブランカ師匠はそう言った。
「ブランカさんに恨みはありませんわ。ただ、あのドワーフたちは許せません。必ず殺してやります」
そういうヴァンダちゃん。深い恨みを抱いているようだ。
「そんなことがあったとはね……。アルパ王国もだけど、ベルクランド王国も、いずれはこちらに攻撃してくるかもしれないな」
僕はそう言った。
「ありえますな。もっとも、ファーランドはベルクランド王国とは国境を接してはいませんが、コーネリアとは接していますし。以前コーネリアと戦争をしたこともありましたしな」
レフさんはそう言った。
「それにしても……、ふふ、お前もそんな事を言うとは、まるでファーランドの元首みたいだな」
そう言うブランカ師匠。
「そういうわけじゃないですが……。でも議員ではありますし、この国の将来も気にはなりますね」
僕は言った。
「フェイ殿には、この国の将来を背負う方になっていただきたいと思っていますぞ」
そんな事を言うレフさん。
「良いじゃないですか! 背負ってくださいよフェイさん!」
そういうアーダちゃん。
「ええ……」
さすがにそれは荷が重いような……。
「それで、これからどうするんだ? このままこの国が滅びて行くのを眺めるのは嫌だぞ」
そういうシルヴィアさん。
「フェイ殿には軍事学校の設立をお願いしているのですよ。せっかくですから、ブランカ殿もシルヴィア様も協力していただけませんかな」
レフさんが言った。
「軍事学校か。そりゃいいな。私に役に立てるなら、いくらでもこき使ってくれ、フェイ」
そういうブランカ師匠。
「とんでもない。僕なんてまだまだですよ」
僕は言った。
「謙遜するな。大したものだと思うがな。ワシも色々教えてやったしな」
そういうシルヴィアさん。
「師匠も色々フェイを教えてくださったんですか。珍しいですね」
ブランカ師匠はそう言った。
「物覚えは良いと思うぞ。まあ、まだまだこれからじゃがな。フェイ、もっともっと学んで、良い錬金術師になるのだ」
そういうシルヴィアさん。
「……微力を尽くします」
僕はそう言った。