81話 サイコロゲーム
「ふう……」
師匠と謎の女の子の保護を完了し、僕は城内でコーヒーを飲んでいた。
「落ち着いたようですわ」
バレンティナさんがそう言った。彼女にもちょっとお世話になってしまった。
「まさかブランカとはのう。それにしても、何があったのか……」
そういうシルヴィアさん。
「あの方がブランカさんですか。師匠からも良く聞いてはいましたが……、何があったんでしょうね?」
そう聞くアーダちゃん。
僕も色々想像してみるが、さっぱりわからない。本人に聞くしかないだろう。
僕達は適当にゲームでもして過ごすことにした。本当は今夜にはカランに帰還するつもりだったが、こうなってはそれすらも難しそうだ。まあ仕方ないけど。
ちなみにゲームと言うのは、サイコロを転がして進めるゲームだ。古いゲームで、ファーランドでは昔からあるらしい。まあ、単なる運ゲーである。
「よし! いちばーん!」
優勝はドロテアだった。見事なサイコロ運だ。
「ぬう……、あと少しだったが……」
二位はアドリアンさんだった。もちろん他のメンバーはぶっちぎりで離されていた。
「ふう……、楽しそうだな……」
ブランカ師匠が、そう言ってやってきた。まだちょっと辛そうだが、歩けるようだ。
「師匠、大丈夫でしたか? もう一人の女の子は?」
僕は聞いた。
「ヴァンダ様はまだ寝ている。ひとまず、私の話を聞いてほしい」
そう言う師匠。
「久しぶりじゃのう、ブランカ。大きくなったな」
そういうシルヴィアさん。
「師匠もおいででしたか。こんな所に出られるとは珍しい」
そういうブランカ師匠。
「まあな。お前と会えるとは正直、思っていなかったが」
シルヴィアさんはそう言った。
「ふう……」
ブランカ師匠はとりあえず座った。メイドさんがコーヒーを持ってきてくれたので、一口飲んだ。
「さて、それでは始めようか……」
そう言ってブランカ師匠は話しはじめた……。