78話 ファーランド城にて
僕達はひとまずファーランド城へと帰ってきた。
しかし城はもちろん閉じられていた。夜だし。とはいえ、このまま外に居るわけにもいかない。僕は門番に挨拶した。
「こんばんは。すいませんが、休ませてもらえませんか」
僕は頼んだ。
「これはフェイ殿。グランテイルから戻られたのですか?」
門番はそう聞いた。僕の事を覚えてくれていたようだ。
「ええ、そうです。入っても良いですか?」
僕は聞いた。
「そりゃもう。どうぞどうぞ」
門番は入れてくれた。
僕達は城内に入った。この城に入るのも懐かしいが、パーティーをしたり、姫様と話し合ったり、思い出は多い城だ。
「あらまあ、フェイ様」
バレンティナさんが階段を降り、やってきた。元気そうだ。服装は寝間着っぽい。
「すいません、バレンティナさん。動いても大丈夫なのですか?」
僕は聞いた。
「そりゃもう。フェイ様に頂いた薬のおかげで、元気ですよ私!」
そういうバレンティナさん。
「そうですか。でもあの薬の飲み過ぎには注意してくださいね」
僕は忠告した。
「大丈夫ですわ。ところで、変わった方々を連れておられますね」
そういうバレンティナさん。
「どうも、アーダと言います」
ペコリ、と頭を下げるアーダちゃん。
「私はシルヴィアじゃ。フェイ、この女は?」
そう聞くシルヴィアさん。
「バレンティナさんは、心臓が弱くて、僕が薬を作ってさしあげたのです」
僕はそう言った。
「へえ、そうなのか。心臓に効く薬なんて私は知らないが……。お前が発明したのか?」
そう聞くシルヴィアさん。
「いや、僕が師匠にもらった本に書いてありましたね」
僕は言った。
「ブランカか。あいつも変わった技術を持っているもんだな」
そういうシルヴィアさん。ブランカ師匠も、シルヴィアさんに勝る技術を持っていたようだ。
「フェイ殿、良く来られた」
レフさんも階段を降りてきた。老いた感じはあるが、元気そうだ。
「レフさん、ごぶざたしております」
僕はそう言った。
「ちょうどあなたと話をしたいと思っていたのですよ。まあ、こんな夜中に来られるとは思いませんでしたがな」
レフさんはそう言った。
「あはは、すいません。それで、話とは?」
僕は聞いた。
「ふむ……。少々込み入った話なので、私の部屋に来てくださいませんかな」
レフさんはそう言った。
「構いませんよ。みんな、ここで休んでてくれ」
僕はそう言って、レフさんと共に彼の部屋へと向かった。