71話 視察
食事が終わると、僕達は街に繰り出すことにした。
護衛として、テレサちゃんが付いてきてくれた。まあ必要ないだろうけど、揉め事はごめんだ。そう考えると、良い護衛だろう。
街は何と言うか、異文化交流と言う感じだった。
とにかく歩いてる人というか、人じゃない人がたくさん居る。魔王様のような青いでかい人も居れば、裸なんじゃないかと思うような格好の女性、黒い肌のドワーフ、龍人族、リザードマン、見た事無いような変なモンスターやら、魚人や人魚、ゴブリン。牛人ミノタウロスまで闊歩している。薄暗くなってきたせいか、吸血鬼らしき男女まで居た。
「これは凄いね。まさに百鬼夜行じゃん」
そんなことを言うドロテア。
「お前だってダークエルフだろうに」
そういうアドリアンさん。
「あはは、まあそうだけどね。でも国じゃ同じダークエルフしかいなかったし、後は人間と龍人ぐらいしか見た事無かったんだよね、あたし」
ドロテアはそう言った。
「僕もこんな場所は初めてだな。驚きだよ」
僕はそう言った。
「わたしはしってたぞ。わたしのほうがかしこいのだー!」
そういうテレサちゃん。そう言われるとちょっと悔しい。
街は活気づいていたが、街そのものは小さい。すぐに城壁が見えた。
「ずいぶん小さな町だね? もっと大きくはできないの?」
僕は聞いた。
「みずがないから、むりなのだ」
テレサちゃんは悲しそうに言った。
「水が無い?」
僕は聞いた。
「そうなのだ。このあたりのみずはどくになっていてのめないのだ」
テレサちゃんはそう言った。
「う、そうなのか……。それは厳しいな」
僕はそう言った。
「でも、城では水も出たと思うけど?」
そう聞くドロテア。
「あれはすいどうとちょすいそうの水なのだ。きちょうなのだ」
そういうテレサちゃん。そうなのか……。