69話 グランテイル城
しばらくすると、テレサちゃんが大量のタオルを持ってきた。それらをそこいらじゅうに投げ捨て、光り輝くとまた少女に戻った。
「どーだまおうさま! たくさんタオルをもってきたのだー!」
そういうテレサちゃん。
「ああ、ありがとう。せっかくだし、城まで全員乗せて行ってくれないか」
そういう魔王様。
「おやすいごよーなのだー!」
テレサちゃんはそう言うと、またドラゴンの姿になった。白い鱗が輝いている。
竜の姿は優美で、気品すら感じられる。……まあ、そんなに頭は良くなさそうだけど。僕達は全員彼女の背に乗った。そのまま竜は空を飛び、城へと向かった。
バルコニーから、一人ずつ降りて行った。僕、ドロテア、アドリアンさん、アーダちゃん、そして魔王様。龍はまた少女へと戻った。
「ありがとう、テレサ。お菓子を食べても良いぞ」
そういう魔王様。
「わーい!」
喜んでテレサちゃんは駆けて行った。
「ここが本拠地なのですか?」
僕は辺りを見回して聞いた。壁の模様も、置いてある美術品らしきものも、珍しい意匠の物が多く、アルパ大陸のものとはやはり大きく違う。
「ここはグランテイル城。まあ、本拠地ではあるな。最近では、海賊の攻撃が酷くて、防御を強めているのだ」
魔王様がそう言った。
「アルパの攻撃ってそんなに激しいの?」
ドロテアが聞いた。
「激しいというか、多いんですよね。夜に襲ってくることもあるし……。心が休まらないですよ」
アーダちゃんが言った。
「僕は一応、アルパの生まれなんですが……。そんなことになっていたんですか」
僕は言った。
「最近のアルパは、民衆には重税を強いているようだし、住みづらくなっているようだ。君も気を付け給え」
魔王様はそう言った。
「それにしても皆様、ご苦労様でした。暖かい料理が出来ていますので、食堂で食べて行ってください」
そう言うアーダちゃん。
「わーい、いこいこ!」
ドロテアはそう言った。