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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第四章 魔族の国 グランテイル帝国編
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68話 二人の少女


 グランテイルへと近づいていたのが功を奏し、僕達は何とかグランテイルへと辿り着いた。

 

 僕が一番だった。こう見えても泳ぎは得意だ。僕の数少ない特技の一つである。まあ荷物はほとんど失ってしまったが、仕方ないだろう。命あっての物種だ。

 

「のあー、なんなのだー?」

 そうすると、凄く馬鹿っぽい声が聞こえた。よく見ると、小さな女の子が居た。しかもその後ろで震えるもう一人の女の子も居る。二人とも普通の人間よりは小さく、見たこともない意匠の服を着ている。

 

「ふう……。僕はフェイ。君は?」

 僕は水から上がり、そう聞いた。

「テレサなのだー。つよいのだー」

 そんなことを言うテレサちゃん。白い短い髪をしている。瞳は金色に輝いている。

 

「あ、あの。私はアーダと言います。一体あなたは何者ですか?」

 怯えるアーダちゃん。黒髪の長髪の少女、いかにも弱気そうだ。怯える黒い瞳。

「いや、怖がることは無いよ。魔王様の案内で来ただけだしさ」

 僕はそう言った。

 

 しばらくすると、ドロテア、アドリアンさん、そして魔王オスカルさんも泳ぎ着いた。それを見て、二人は安心する。

 

「ふう……。まったく、何でいきなり水泳大会をやらされるわけ?」

 悪態をつくドロテア。

「まったくだな……。それにしてもドロテア殿、意外と泳ぎが上手ではないか」

 そういうアドリアンさん。

「そりゃまあね。ていうか、フェイ君に負けるとは思わなかったけど」

 そういうドロテア。

 

「テレサ、アーダ、ここに居たか。すまないが、何か体を拭くものをたくさんくれ」

 そういう魔王様。

「わかったのだー」

 テレサはそう言うと、突然凄い光を発した!

 かと思えば、巨大な白い飛竜となり、城へと飛んでいった。

 

「あれはもしや、飛竜族!?」

 叫ぶアドリアンさん。

「知ってるの?」

 ドロテアが聞いた。

 

「見ての通り、飛竜に変身できる一族だ。というか、あちらが本来の姿なのだが」

 アドリアンさんはそう言った。

「テレサは我が国でも最強の実力者でな。まあ少々考えが足りないところがあるが……」

 そういう魔王様。

 

「魔王様。交流部隊は船で来る手筈だったと思いますが」

 アーダちゃんがそう聞いた。

「トラブルがあってな。というか、まあいつもの海賊だが」

 そういう魔王様。

「やはりですか。最近多いですね。アルパの連中みたいなんですが」

 そういうアーダちゃん。

 

「アルパ王国の人が海賊を?」

 僕は聞いた。

「そうだ。どうも連中は魔族には何をやっても良いと思ってるらしくてな。迷惑な話だ」

 魔王様はそう言った。

「そうなんですか……」

 まさかアルパ王国の仕業とは……。僕も一応、故郷ではあるんだけど……。

 



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