62話 イリスの食堂
朝のうちに、僕達はイリスへと到着した。
民会は午後から会堂で行われる。まだ少し余裕があるだろう。僕達は食堂へと入り、時間を潰すことにした。
挽肉のスパゲッティを頼み、待っていると、見知った顔が話しかけてきた。
「まあ、お久しぶりですわ、フェイ様」
そう言ったのは、ドワーフの娘、カンデさんだ。
「お久しぶりです、カンデさん」
僕はそう言った。
「お元気そうで何よりです。あの時は何も言わず離れて申し訳ありませんでした。私も迷っていまして」
そう言うカンデさん。
「良いんですよ。迷うのは当然でしょうし」
僕はそう言った。
スパゲッティが来た。挽肉にたくさんのチーズがのっている。食べてみると、モチモチした麺と濃厚な味がすばらしく美味しい。
「美味しいですね。これはカランだとあまり食べられないかも」
僕はそう言った。
「ここにはたくさん美味しいものがありますよ。とても豊かな街ですから」
カンデさんはそう言った。
「それにしても、フェイ様は何故ここに?」
そう聞くカンデさん。
「僕は議員ですからね。民会に来たんですよ」
僕は言った。
「まあ、そうでしたか。それは何とも、お疲れ様です」
カンデさんはそう言った。
ドロテアはピザを食べていた。お気に入りなんだろう。
「そういやさ。議員ってどんな奴がいるの?」
そう聞くドロテア。
「別に皆さん普通の方ですわ。まあ中には、変わった方もおられるかもしれませんが」
そう言うカンデさん。
「変わった方と言うと?」
僕は聞いた。
「んー、グランテイルの方も来られると思いますわ。魔族の方も結構人気はありますね」
そう言うカンデさん。珍しさだろうか。