6話 初ダンジョン
僕達はダンジョンへと向かった。
そこは墓地だった。
「ちょっとツィルさん!? 何考えてるんですか! 女の子を墓地に連れてくるなんて! 最も間違っているデートスポットですよ!」
文句を言うソフィーちゃん。
「デートじゃねえだろ。今回の依頼は、ここからゾンビが出てくるとかでな。原因の調査と破壊が任務だ。怖じ気づいたのかよ?」
そういうツィルさん。
「うう、そんなあ……」
ガタガタと震え、怯えるソフィーちゃん。
「ソフィーちゃんは女の子なんだし、そりゃ怖いでしょ。ツィルさん、他の依頼は無いの?」
僕は聞いた。
「あるわけねえだろ。割の良い依頼だし、今からキャンセルしたら違約金を取られるしな。いいからさっさと突撃しようぜ」
そういうツィルさん。
「うう、わ、わかりましたよ! 行けば良いんでしょ! 行けば!」
やけになったのか、僕に捕まりながらも前進するソフィーちゃん。
墓地の中は暗闇だ。ツィルさんは、松明を取り出し、火をつけた。一応の明るさにはなる。
「おい盗賊、ちょっと先を見てきてくれよ」
そういうツィルさん。
「ひい! 怖いよ~」
怯えるソフィーちゃん。可愛い。
「盗賊がビビってんじゃねえよ。罠があるかもしれねえだろ。だから連れて来たんだろうが」
呆れるツィルさん。
「うう、わ、罠にかかるかしたらすぐ助けに来てよね、フェイ君!」
懇願するソフィーちゃん。
「大丈夫だよ。まあ、僕が役に立てるかは知らないけど……」
あんまり力になれそうにない僕。
松明を持ち、調査するソフィーちゃん。床を探る。
「ここに落とし穴があるわね」
それを見つける。
「へえ、本当かよ?」
聞くツィルさん。
「本当よ。嘘を言うわけないでしょ。ほら」
火のついていない松明の一部(つまり枝)を投げるソフィーちゃん。ガタン、と音がして奈落の底へと落ちて行った。
「厄介だな……。盗賊を連れてきてよかったよ」
そういうツィルさん。
「まあ僕達、どう考えても墓荒らしですしね」
僕はそう言った。
その後もひたすら慎重に調査するソフィーちゃん。しかしまあ、慎重さも功を奏し、良い感じで罠を解除していく。
一つの部屋に入った。堂々と宝箱が鎮座している。
「これは怪しいな」
そういうツィルさん。確かに怪しさ満点だ。
「んー」
宝箱を調べるソフィーちゃん。カチリ、と音がして、ジリリリリリリリリ! と大音響で警報が鳴り響いた。
「おい盗賊! 何やってんだよ!」
文句を言うツィルさん。
「ごめんごめん。ついやっちゃったよ」
てへぺろするソフィーちゃん。可愛いけど……。
「GURUAAAAAAAAAA!」
突然、ゾンビの群れが襲い掛かってきた。3体は居る。
「クソが! とりゃあ!」
すぐさま青い大剣で攻撃をかけるツィルさん。敵一体を倒したが、すぐにもう2体が襲い掛かってくる。
「はっ!」
バシン! とゾンビに石があたり、倒れた。ソフィーちゃんのスリングショットによる攻撃だ。
「てえい!」
僕も弓矢を取り出し、射撃する。だが外れた。ゾンビが僕に襲い掛かってくる。僕は何とか距離を取り、避ける。
「うらあ!」
ドシュン! とツィルさんの剣斬撃が決まった。凄まじい一撃で、ゾンビは真っ二つになった。
動かなくなるゾンビたち。ひとまずはしのいだが、まだ敵は襲ってくるかもしれない。
「おい盗賊、その宝箱は開けられるのかよ?」
そう聞くツィルさん。
「やってみるね」
そういうソフィーちゃん。カチャカチャ、と針金をぶっ刺して鍵を開ける。カチャリ、と音がして宝箱は開いた。中にあるのは、美しい黄金色の2対の短剣のようだ。
「なんだこりゃ。ガラクタじゃねえか」
そういうツィルさん。
「いやいや。どう見ても芸術品の短剣でしょ」
そういうソフィーちゃん。
「んなもん俺は使えねえよ。お前が使うのか?」
そう聞くツィルさん。
「ていうか、この剣の価値が私にも良くわからないけどね。フェイ君はわかる?」
そう聞くソフィーちゃん。
「多分、アイジール鋼鉄の短剣だと思うよ」
僕はそう言った。
「アイジール鋼鉄!? あの伝説のドワーフの鉱石か?」
驚くツィルさん。
「そうですね。ていうか、ツィルさんが知らないのが意外でしたが」
僕は言った。
「もちろんそりゃ知ってるけどよ。こんな短剣にするなんてもったいねえじゃねえか。どうせなら斧か大剣にして欲しかったぜ」
そういうツィルさん。
「よくわかんないんだけど、強いの? この剣」
そう聞くソフィーちゃん。
「とにかく強いよ。硬いしね。ソフィーちゃんが使いなよ」
そう言う僕。
「良いの? んじゃ、遠慮なく使わせてもらおうかな」
そう言って剣を受け取るソフィーちゃん。良く似合っている。
僕達は更に進んだ。
金で飾られる豪華な部屋に入った。中心には玉座があって、王様が座っている。
王様は……、骸骨のようだ。
「立ち去れ……」
脅す王様。ソフィーちゃんが怯え、僕に捕まる。
「そうはいかねえな。ここで始末してくれる!」
そういうツィル。剣を構えた。
その時、ガタガタ、とあたりの棺桶が騒ぎ出し、中から亡霊が現れた。GIEEEEEEE! と恐ろしい声をあげ襲い掛かってくる。
「ひいいい! 《聖なる光》!」
ソフィーちゃんが神聖魔術を行使した。敵の動きが鈍る。苦しむ亡霊たち。
「はっ!」
ツィルさんが剣で敵をぶった切っていく。敵の親玉は剣で斬りかかる。だがそれを切り返すと、刺突攻撃をかけた。
マントをひるがえし、再度剣で斬りかかる敵。ツィルさんはそれに思い切り斬りを入れ、敵の剣を破壊してぶった切った。
「馬鹿な……」
そう言って敵の王は倒れた。
「ああうう……、や、安らかにお眠りください……。《浄化》」
ソフィーちゃんが祈りを捧げた。骸骨たちは安らかに眠りについたようだ……。